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松山英樹が2連覇した人気コースはなぜ「65万人」も動員できる? “当たり外れ”が多いゴルフ観戦でも“老若男女”が集まる理由
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2023/02/19 11:44
松山英樹が2016、17年に連覇を達成したフェニックスオープン。練習日を合わせて述べ65万人以上が来場する人気トーナメントだ
個人的には、この試合に限らず米国のプロのトーナメントは日本の地域伝統の盆踊り大会みたいなものだと感じている。日本のお祭りも五穀豊穣を祈り、踊りに真剣な“ガチ勢”が催しの中心である一方で、多くの人にとってそこは出店巡りやイベントを通じた、家族や友人との時間を過ごす場に違いない。一年に一度のお祭りだから、ギプス付きの足を引きずってでも、乳母車を押してでも行く。
お祭りには、その土地から湧き上がる力が欠かせない。フェニックスオープンは2010年から廃棄物処理大手のウェイストマネジメント社がタイトルスポンサーについているが、実質的な運営は数十年前からサンダーバーズという当地の市民団体が担っている。
地元の名士にとって、長年、土地で築いてきた文化を失うわけにはいかない。そういったエリアでは仮にスポンサー企業が業績不振で大会から撤退しようとも、新しい出資社を懸命に集めようとする好循環がある。
世界最高峰の看板を掲げるツアーのトーナメントが創造してきたのは、結果的に“プロゴルフ以上のモノ”だとは言い過ぎだろうか。