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「正捕手の定義が少しずつ変わってきています」DeNA伊藤光33歳に聞いた“勝負の1年”への覚悟「必要ならばキャッチャーではなくとも…」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/02/20 11:00

「正捕手の定義が少しずつ変わってきています」DeNA伊藤光33歳に聞いた“勝負の1年”への覚悟「必要ならばキャッチャーではなくとも…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

宜野湾キャンプで練習に励む伊藤光。今年の4月には34歳となるプロ16年目の“ベテラン”に話を聞いた

「若さでカバーできていたところが30歳を(さかい)にカバーしきれなくなってきたのは事実。だから練習量を落とすことなく、より治療の時間を増やすなど、いいコンディションで次の日を迎えられるようにしていきたい。自分に向き合い、これまでの経験も踏まえ、今年は絶対に乗り切ってチームの力になりたい」

 これまでも、あらゆるケアやトレーニングをやってきたはずだ。リスクを抱えながら、いかに壁を乗り越えるのか。今年で34歳になる伊藤の覚悟の一年が始まろうとしている。

勝負できる位置にすらいなかったのが僕のこの数年

 注目の正捕手争い。昨季、チームで一番多くスタメンマスクをかぶった嶺井博希がソフトバンクへFA移籍したことで、チャンスが増えることは間違いないが、伊藤は慎重に言葉を選ぶ。

「勝負できる位置にすらいなかったのが僕のこの数年なので、まずはしっかりと準備をしたい。もちろん選手である以上、全試合に出たいし、ポジションを掴み取りたいという気持ちは強いけど、一番はチームが勝つことですし、いかにそこへ貢献できるかが重要。例えば全試合に出場することを目標に掲げて、結果それでチームが下位であれば、僕はあまり意味がいないと思うんです。出た試合でしっかりと勝つことが大事。その数を増やしていきたいですね」

 誤解を恐れずに言えば、是が非でもレギュラー奪取という猪突猛進な思いがあるわけではない。立場と経験とともに野球観は変容していくものだ。

「もともとベイスターズはピッチャーによってバッテリーを組み替えるチームなので、個人の役割を果たすことで最終的に優勝することができればいい。例えば昨年のオリックスは伏見(寅威)選手と若月(健矢)選手のどちらが正捕手なのか、といったオーダーで日本一になりました。だから僕のなかでは正捕手っていうモノの定義が少しずつ変わってきていますし、やっぱり勝つことが一番だなと思っています」

“点と線” 伊藤の打撃が変わったポイント

 試合に出るためには捕手とてバッティングでの貢献は不可欠だ。伊藤は昨季103打席しか立てなかったが、それでも打率.277というアベレージを残している。勝負強い打撃。昨年のスイングを見るとフォームはあまり変わらないものの以前よりもスムーズにバットが出ていた印象だったが、なにか自身のなかで変化があったのだろうか。

【次ページ】 “一塁起用”をどう感じていたのか

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