朝青龍が直電で喝「なんで負けたんだ！」甥・豊昇龍もビビる“超やんちゃな叔父さん”にも殊勝な時期が…20年前、綱取りの瞬間に流した涙

　関脇2場所目の先場所は三役で初の2桁勝ち星となる11勝をマークした豊昇龍が、今場所は初日から4連勝とスタートダッシュに成功。その相撲ぶりも低く鋭い立ち合いから、前廻しを引きつけて一気に走る速攻が冴え渡り、先場所よりもさらに力強さと安定感が増した印象だった。

初場所4日目、玉鷲（左）を寄り切る豊昇龍　©JIJI PRESS

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　出だし4日間の相撲を見る限り、のちに一気に横綱へと駆け上がり“ウルフフィーバー”を巻き起こすことになる、当時関脇の千代の富士が初優勝した昭和56年初場所を彷彿させたと言っても過言ではなかったであろう。しかし、好事魔多し。中盤で連敗を喫し、8日目は注文相撲で勝ちを拾うと翌9日目の若元春戦で左足首を負傷。大関取りの足場固めの場所で無念の休場となった（11日目から再出場）。

「ケガした足をガーンとやればよかった」

　今からちょうど20年前の初場所は、豊昇龍の叔父にあたる朝青龍の綱取りの場所であった。大関2場所目の前場所、14勝1敗で初優勝を果たした当時22歳の“蒼き狼”は、日の出の勢いであったが、一方で張り手を多用するなどの荒々しい取り口や、新大関場所で長期休場明けの横綱貴乃花に敗れた際に「クソー、ケガした足をガーンとやればよかった」と“暴言”を吐いて物議を醸すなど、早くも「品格」が問題視されていた。

2002年11月、朝青龍が初優勝を決めた瞬間　©JIJI PRESS

　そんな周囲の声をよそに大事な場所を前にしても「プレッシャーもないし、意識はしていない。自分の相撲が取れればいい」と自信たっぷりだった。しかも、初日2日前の1月10日には都内ホテルで、前夫人と結婚会見を行っている。

　場所が開幕してもプレッシャーとは無縁の相撲ぶりで、初日から快調に白星を積み上げていった。2日目は出島を一気に寄り切った後に相手に叩かれる形となり、怒気を含んだ表情となったが、支度部屋では「出足がいい。まだ2日でも自分の相撲を取り切っている感じだよ」と冷静さを取り戻していた。以前なら相手を批判しかねなかったであろうが、横綱を目指すうえで「品格」を意識していたのかもしれない。

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