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「親の七光り、二世、全然嫌じゃない」三浦孝太20歳、RIZIN2連勝に込めた思いと“好感度高すぎ”な父・カズとの秘話 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2022/09/29 11:04

「親の七光り、二世、全然嫌じゃない」三浦孝太20歳、RIZIN2連勝に込めた思いと“好感度高すぎ”な父・カズとの秘話<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

超RIZINの第1試合にて、タイのブンチュアイ・ポーンスーンヌーンに腕十字で勝利した三浦孝太

序盤から狙い続けた組み、寝技

 そういう中でも、三浦は自分がやるべきことを全うした。対戦相手はムエタイとボクシングで活躍してきたブンチュアイ・ポーンスーンヌーン。警戒するのは打撃、弱点は寝技とポイントがはっきりしている。

 三浦は序盤、すぐに組み付く。“組み”は試合のポイント、つまり立ち技の打撃と寝技の狭間だ。ムエタイには組み付いて相手をコントロールし、ヒザ蹴りやヒジ打ちにつなげる首相撲というテクニックがある。

「首相撲をやってきたら引き込んでいろいろやろうと思ってました。ただ(寝技でも)押さえつける力とか上体を起こす力が強かったですね」

 三浦はそう試合を振り返っている。組んだらヒジやヒザをもらう前に寝技にいきたい。そのためには引き込み=下になる形でも構わないという作戦だった。通常、グラウンドでは上のポジションが有利なのだが、寝技に慣れていないブンチュアイなら下からサブミッションを極めることも可能だという判断だ。だが三角絞めからの腕ひしぎ十字固めはディフェンスされてしまう。

「狙い通り」“極め”までは一瞬だった

 仕切り直して再度、スタンドの攻防。今度は外掛けでテイクダウンに成功する。そこからマウントポジション、そして腕十字。投げから“極め”まで、一瞬に感じられた。しっかり抑え込んでパンチやヒジで相手を“削る”作業がなかったのだ。

 それは無我夢中だったからか、それとも作戦だったのか。三浦に聞いた。

「狙い通りでした。大晦日の試合で極めれないところがあったし、ムエタイの選手は寝技の練習をやってないだろうと。ただ気持ち、ハングリー精神は強いから、取りにいかないと自分が負けてしまう。“極めきる”というのを練習してきました」

 寝技が苦手といっても、相手は歴戦のムエタイ選手。じっくり時間をかけて攻めていたら何が起きるか分からない。ここは一気呵成のフィニッシュが得策という判断だった。まさにその狙いが結果につながった形だ。試合中、何を考え、どう動いたかを的確に説明できるところは、三浦の非凡な能力と言っていいだろう。興奮して試合の詳細は覚えていないという選手も多いのだ。

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