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「お前タフだな、気に入ったよ」朝倉未来の覚悟に、メイウェザーが感じた“誇らしさ”…KO決着直後、リングで2人が交わした言葉

posted2022/09/26 11:07

 
「お前タフだな、気に入ったよ」朝倉未来の覚悟に、メイウェザーが感じた“誇らしさ”…KO決着直後、リングで2人が交わした言葉<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

9月25日、超RIZINのメインとなるエキシビションにて対戦したフロイド・メイウェザーと朝倉未来

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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RIZIN FF Susumu Nagao

「楽な金儲けさ。合法的な銀行強盗だよ」

 フロイド・メイウェザーは公開練習で言った。プロボクシング50戦全勝、5階級を制覇したオールタイム・ベストの1人。来日したのは9月25日の『超(スーパー)RIZIN』さいたまスーパーアリーナ大会に出場するためだ。

 といっても“試合”ではない。3分3ラウンドのエキシビションである。ボクシングルールに準ずるスタンディングバウト。判定なし、KOで試合は終了するが公式記録には残らない。それでもこれは“真剣勝負”であり、相手の朝倉未来は倒しにいくと公言していた。その自信がある、と。

 メイウェザーは2017年に引退し、2018年大晦日にRIZINのリングで那須川天心とエキシビションを行なっている。それ以来、YouTuberのローガン・ポール、元ボクサーのドン・ムーアと同様の闘いで拳を交え「世界中のみんなを楽しませ」ながら「少し稼いで」きた。少しというのは“MONEY”の異名を持ち、2019年に「過去10年で最も稼いだスポーツ選手」ランキングで1位になったこともあるメイウェザーの基準で、だ。

それでも多くのファンが朝倉未来に期待した理由

 対する朝倉はMMAファイター(総合格闘家)だ。ボクシングで闘ったら、その差は“天と地”以上だろう。だがそれでも、日本には彼に期待するファンがいた。試合前、中継ゲストのケンドー・コバヤシはこう言っている。

「メイウェザー選手が凄いのは十分に分かった上で、それでも何かあるんじゃないかと思わせてくれる朝倉選手も凄い」

 朝倉はメイウェザーのようなエリート・アスリートではない。10代はケンカ三昧。少年院送りにもなった。そこから総合格闘技に己の才覚を見出し、日本最大の団体であるRIZINへ。“不良の色気”はYouTubeでも発揮され、チャンネル登録者数274万人を誇る。

 ボクシングの基準で言えば、朝倉のパンチは“ヘタ”だろう。だが、だからこそ期待感があった。MMAファイターのパンチは正統的ボクシングとはリズムや軌道が違うと言われる。それはメイウェザーにとっても未知の領域ではないか。まして朝倉には“路上の伝説”と呼ばれるケンカ師としての勝負度胸や勘もある。

顔面にも直撃…堂々と渡り合った朝倉の闘い

 実際、朝倉はメイウェザーと堂々と渡り合った。圧力をかけられながらパンチを繰り出し、冷静にボディも狙う。2ラウンドには右フックを顔面に直撃してみせた。絶対的不利の予想の中、ファンが待ち続けた場面だ。

 大会は日曜日の昼開催。アメリカの土曜夜に合わせてのものだ。大会はアメリカを始め世界各国に配信された。朝倉がメイウェザーに一撃食らわせた瞬間は、世界を驚かせたはずだ。

 だが、おそらく世界で唯一、驚いていなかった者もいる。ほかならぬメイウェザーだ。

【次ページ】 ついにダウン…「2ラウンド3分15秒」の決着

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