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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦の振付師「『プロ転向おめでとう』と連絡したら、すぐに彼から…」シェイリーン・ボーンが振り返る「ユヅは自分の『声』を持っていた」
posted2022/08/10 11:04
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images/AFLO
過去8年間、羽生結弦の振付を手掛けてきた振付師でプロスケーターでもあるシェイリーン・ボーン。数日後には日本でのアイスショー出演と、彼女の夫で映画監督のボーダン・トゥロック氏が監督するというNHKドキュメンタリー番組の撮影のため、5週間来日するという。出発前の忙しい時期に時間を割いて、独占インタビューに応じてくれた。(全2回の1回目/後編へ続く)。
「『プロ転向おめでとう』と連絡したら、すぐに彼から…」
まず最初に、羽生がプロ転向を発表したことについての感想を聞いた。
「ファンタジー・オン・アイス用のプログラムの振付などで、ユヅとはずっと連絡を取り合っていました。でも来季の競技活動については、彼の方から何も言って来なかったので、私からその話題に触れることはありませんでした。余分なプレッシャーを与えたくなかったので。私はあまりインターネットのニュースを見ることはないので、彼のプロ転向のニュースは、夫が最初に気が付いて教えてくれました。私がユヅに、『プロ転向おめでとう』と連絡をしたら、すぐに彼からお礼の返事が来て、私からメッセージをもらえて嬉しい、と言ってくれました」
タイミング的には予想外ではあったものの、サプライズではないという。
「そもそも最初のオリンピックで金メダルを取った後、選手によっては引退を考えたでしょう。さらに2度目のオリンピックで金を手にした後、すぐに引退したとしてもサプライズではなかったと思います。彼はアスリートとしてやれることは全てやり遂げた。きっと彼の中には、これまでの経験を生かしてやってみたい新しいこと、新たなゴールが見えているのに違いないと思うんです」
羽生の驚異的な身体能力「何という才能だろうかと」
羽生が初めて彼女に振付を依頼したのは、ソチオリンピックで金メダルを手にした翌シーズンのこと。2014/2015年シーズンのフリー、「オペラ座の怪人」が最初の作品だった。彼の第一印象はどのようなものだったのだろうか。