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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「ユヅと二人で大笑いして…」羽生結弦の振付師が語る、プロ転向後の“無限の可能性”「スケート界は彼のようなリーダーを必要としている」
posted2022/08/10 11:05
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
ボーン氏が特に印象に残っているプログラム
これまでの作品の中で、特に気に入っているものはあるのだろうか。そう聞くと、ボーン氏は少し考えてから、こう答えた。
「一つだけ選ぶのは難しいです。どのプログラムにもそれぞれ思い入れがあり、ユヅにとっても一つ一つがきちんと個人的にも意味のある作品でした。その時々で、彼自身にとってもっとも相応しいプログラムだったと思っています。自分の子供の中でどの子が一番可愛いか、と聞かれるようなものです」と笑う。そんな中でも、やはり「SEIMEI」は特別なプログラムだと感じているという。
「特に印象に残っているのは、『SEIMEI』の振付の時に、彼がこのプログラムで表現したいもの、感情などを文章にして持ってきたことです。元々のストーリーの他に、彼は彼の表現したいストーリー、そして私は私で表現したいストーリーがそれぞれあったのです」
「ユヅは小悪魔的な笑い方をすることがあるんです」
例えば具体的に、どのようなものだったのか。
「私は『陰陽師』の映画を字幕入りで見たのですが、主人公のキャラクターにとてもユヅと重なるものを感じました。落ち着いていて自信があると同時に、ユーモアのセンスがあるところなどです。私たちは初めて一緒に振付の作業をしたときから、たくさん一緒に笑っていました。
映画の主人公と同じように、ユヅはちょっと悪戯っぽい表情で、小悪魔的な笑い方をすることがあるんです。そんな表情をした彼に『今、何を考えてるの?』と聞いて、二人で大笑いすることがよくあったんです。この主人公の中に、あなたに共通するものを感じるわ、とユヅに伝え、その雰囲気を生かしたいと思いました」