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ゴールドシップ産駒の人気馬・ブラックホール“初めての相馬野馬追”に密着! 競馬ファンと引退競走馬をつなぐために必要なこととは? 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byAkihiro Shimada

posted2022/07/31 11:01

ゴールドシップ産駒の人気馬・ブラックホール“初めての相馬野馬追”に密着! 競馬ファンと引退競走馬をつなぐために必要なこととは?<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

ゴルシ産駒で競走馬としても活躍したブラックホール。相馬野馬追ではどんな様子だったのか?

大迫力の甲冑競馬も復活

 呼び物の甲冑競馬の第4レースに、小高郷先頭軍者付御使番の只野晃章(てるあき)さんが、レッドカロス(牡3歳、父イスラボニータ、中央4戦0勝)で出場した。初めて話した2017年、中学3年生だった只野さんは、甲冑競馬で初勝利を挙げた。以後、18年も19年も勝っており、ゴールすると必ず内馬場で撮影する私に向かってポーズを決める。なのに、あまりいい写真が撮れなくて申し訳なく思っていたのだが、今年は正直、それを考える必要はないように思われた。というのは、前日の宵乗り競馬に出場したレッドカロスは、彼の腕をもってしても最下位だったからだ。

 宵乗り競馬は陣羽織で騎乗する。だから、馬の力の差がそのまま出やすい。重い甲冑を着て、空気抵抗の大きい旗指物を背負う甲冑競馬なら騎乗者の技術で逆転可能かもしれないが、あの着差は決定的に思われた。

――そりゃあ、テル君でも負けることはあるよな。

 今年の甲冑競馬ではそう思ってカメラを構えていたのだが、馬上で旗指物をほぼ水平にして空気抵抗を減らす彼の姿を見て総毛立った。序盤からついて行けなかった前日の走りが嘘のように好位に取りつき、3、4コーナーで外から進出。直線で鋭く伸びて後続を突き放し、先頭でゴールを駆け抜けたのだ。

 彼は今年も私に向かって、鞭を持った右手を突き出した。

 私はちょっと感動してしまった。と同時に、テル君の腕を信じなかったことを申し訳なく思った。

騎馬武者たちが激しく奪い合う、神旗争奪戦

 甲冑競馬が終わると神旗争奪戦が始まる。2本の御神旗の入った花火が20発、計40本の御神旗が打ち上げられ、舞い降りてくるそれらを、騎馬武者たちが激しく奪い合う。

 マドリードシチー(牡18歳、父サッカーボーイ、中央9戦0勝)に乗る小高郷後備軍者付組頭の本田賢一郎さんも、見事、御神旗を獲った。3歳のときから出陣している彼は、前出の本田賢美さんの兄で、現在は桧原湖をベースにバスプロとして活躍している。

 賢一郎さんと賢美さんの父で、小高郷副軍師をつとめる本田博信さんは、エノラブエナ(牡11歳、父シンボリクリスエス、中央24戦4勝)で出陣した。

 本田家から出陣した3頭はみな博信さんが所有し、自宅の敷地内の厩舎と、鹿島区に借りている厩舎で、計10頭ほどの世話をしている。

 午後4時から小高郷の帰り馬の行列が始まった。博信さんは、相馬藩の「国歌」である「相馬流山」を馬上で歌った。行列の終わりに、締めくくりの挨拶をするのも博信さんの役割だ。

 小高郷武装取締の杉秀輝さんが乗るワイプティアーズ(牡7歳、父ダイワメジャー、中央31戦4勝)も、甲冑競馬や神旗争奪戦につづき、帰り馬の行列に加わっていた。

【次ページ】 引退競走馬への関心が高まっている現在だからこそ…

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