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2年で45億円超の爆買い…「ウマ娘」で話題の藤田晋オーナーの狙いとは? セレクトセールの落札馬リストから見えてきた“綿密なプラン”
posted2022/07/17 11:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO/Photostud
競走馬の国内最大のセリ「セレクトセール2022」が、7月11日と12日に苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。
2日間合計の売上は、昨年の225億5600万円(税抜き、以下同)を10%ほど上回る、史上最高の257億6250万円。469頭が上場され、95.3%の447頭が落札された。最高額落札馬はモシーンの2021(父モーリス)の4億5000万円で、1頭あたりの平均落札価格は約5763万円。
夢の値段が、それこそ夢のような額に跳ね上がった。
単なる「爆買い」ではない藤田オーナーの戦略とは
そんななか、「今年も爆買い」と注目されたのが、サイバーエージェント代表の藤田晋オーナーだ。2日間で23億6200万円を投じた昨年につづき、今年は18頭を22億2600万円で落札した。
子会社がヒットさせたゲームにちなんで「ウマ娘マネー」と呼ばれるなど、派手さばかりが目立つが、所有馬のラインナップを見渡すと、けっして衝動買いなどではなく、先を見越して綿密に練られたプランがあるように思われるのだ。
藤田氏が馬主資格を申請したのは昨年2月のことだった。5月の千葉サラブレッドセールでドーブネを4億7010万円という高値で購入して話題になり、8月14日、小倉のフェニックス賞に所有馬が初めて出走した(デュガ、3着)。ということは、所有馬が初めてレースに出てから、まだ1年も経っていないのだ。
にもかかわらず、今年4月9日にはジャングロがニュージーランドトロフィーを勝って、所有馬の重賞初制覇を遂げるなど、早くも馬主として成功しようとしている。
私たちはつい「爆買い」という言葉に騙されてしまうが、セレクトセールで藤田氏が落札した馬を見ると、種牡馬がバリエーションに富んでいるし、価格帯にも幅があり、昨年と今年とで、牝牡の落札馬のバランスをはっきりと変えている。「一番高いの持ってこい」というやり方でもなければ、勢いに任せたやり方でもなく、計算し尽くされたうえでの投資であることがわかる。