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楢崎智亜&野口啓代の結婚報告を聞いた弟・明智は… 身長も性格もプレースタイルも正反対な2人が目指す「一緒にパリ五輪」 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byYuki Suenaga

posted2022/05/24 06:01

楢崎智亜&野口啓代の結婚報告を聞いた弟・明智は… 身長も性格もプレースタイルも正反対な2人が目指す「一緒にパリ五輪」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年、元日本代表の野口啓代と結婚を発表した兄・智亜(左)。弟・明智も2人の結婚を喜んだ

 2019年の世界選手権には兄弟で出場し、兄・智亜は東京五輪代表に内定。弟・明智は同年11月、フランスで開かれた五輪予選で3位となり、残り1枠を争う権利を得た。ところが国際スポーツクライミング連盟が五輪代表選考方法の解釈を変更し、五輪に挑戦する機会を失った。その後、五輪は1年延期となり、兄は大舞台であと一歩メダルに届かず4位と悔しさを味わった。「金メダル候補」と言われ続けた重圧は計り知れないと慮る弟と目指すのは、兄弟で2024年パリ五輪に出場することだ。

――昨夏の東京五輪で智亜選手は4位入賞。「金メダル候補」と言われるなかで、メダルまであと一歩と言う結果でした。明智選手は、昨年の五輪での智亜選手の戦う姿をどのようにご覧になっていましたか。

明智 “緊張してるな”と思いましたね。すごくプレッシャーを感じているな、と。

智亜 めちゃくちゃ緊張してましたね。多分、今までの大会の中で一番緊張しました。

明智 1課題目で疲れてもいないのに、足が震えていたんですよ。これ、ヤバいんじゃないかなと思いながら見てたのを覚えてます。オリンピックで勝とうとするには、競技力を向上させるのはもちろん重要ですが、それ以上に、メンタル的な部分というか、プレッシャーや自分が何を背負っているのか、背負わない方がいいのか……というような部分を整理したほうがいいんだろうなと感じましたね。

「オリンピックは背負うものが多い」

智亜 自分で自分にプレッシャーをかけていた部分がすごく大きかったですね。やはり五輪は、世界選手権などに比べてすごく背負うものが多いと感じました。僕自身も単純に競技力を競うことだけにとどまらず、いろんな人の思いを背負いながら戦いたいなと思っていました。1年延期したことで、成長するためにさらに自分にプレッシャーをかけることができたと捉えていたんですが、結果的には、それに対して自分が応えきれてなかったと思います。

明智 僕だったら背負わないです。自分の競技で、他人の期待なんて別に関係ないんで。それでもそういった思いも背負って結果を出して、競技を盛り上げていきたいという意志を持って挑んでいったことは純粋にすごいなと思います。僕なら絶対に投げ出してますから。「プレッシャーかけないで」って言っちゃいます。

――五輪直後にはどんな言葉をかけたんですか?

智亜 しばらく会えなかったんだよね?

明智 でも、すぐ電話したよ。いろいろ見ていて感じたのは、五輪そのものがどうこうではなくて、五輪になると、周りの人が変わってしまうというか、出場する人に対して圧をかけてしまうんですよね。僕は智くんが世界選手権で勝ったときも、W杯で勝ったときも、いつも通りだったんですよ。だから、もちろん特別な大会ではありますけど、僕は五輪のときもいつも通りふるまいたかったし、そうしていました。

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