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マスターズ制覇のシェフラー(25歳)が真っ先に「ヒデキ」の名を口にした理由…オーガスタで語り継がれる“陰の立役者たち” 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byKoji Aoki/AFLO SPORT

posted2022/04/13 11:01

マスターズ制覇のシェフラー(25歳)が真っ先に「ヒデキ」の名を口にした理由…オーガスタで語り継がれる“陰の立役者たち”<Number Web> photograph by Koji Aoki/AFLO SPORT

前年王者・松山英樹からグリーンジャケットを受け取るスコッティ・シェフラー(25歳)

 シェフラーとメレディスはテキサス州内の同じハイスクールで知り合い、シェフラーはテキサス大学へ、メレディスはテキサスA&Mへと進学先は別々になったが、2人の交際はその後も続いた。

 シェフラーがプロゴルファーになり、転戦生活を開始すると、メレディスは貧困や飢えに苦しむ人々を支援する非営利団体の活動にインターンシップとして参加し、ハイチなどの国々へ赴いた。その後、彼女はテネシー州内の災害救助支援団体に勤め、以後は大学時代の仲間とともにイベント企画会社を共同設立するなどビジネスにも積極的。

 社会人として、まったく異なる道をそれぞれに歩み出し、物理的にも離れ離れが続いた2人だったが、シェフラーとメレディスの愛情は、むしろ深まり、2020年12月に結婚。それからは、妻は夫の転戦に同行することが増え、彼女は選手としての夫の長所も短所も、すっかり飲み込んでいた。

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 今年2月から次々に3つの勝利を重ねたシェフラーは、世界ランキング1位になり、「時の人」と呼ばれ、マスターズ3日目を単独首位で終えた。そして、最終日を最終組で回る運命の時を翌日に控えていた土曜日の夜、彼の緊張はマックス状態だった。

 ディナーを終えて、宿舎に戻る際、大会期間中、選手に貸与されているコーテシー・カーの車内で、シェフラーは食べたばかりのディナーの大半を吐いてしまった。

「ここ数日、胃がよじれた感じで、ずっと調子は最悪だったけど、あの車内での出来事は、本当に最悪だった」

 シェフラーは優勝会見で初めてそう明かしたが、胃腸が萎縮して機能しなくなってしまうほど大きなプレッシャーにさらされていた夫の異変に、妻は早くから気付いていた。わかっていたからこそ、彼女はその出来事をあえて明るく笑い飛ばし、夫がシリアスになりすぎないよう気遣った。

「ベイビーのように泣いていた」

 4月10日。いよいよ最終日となった日曜日の朝、午後2時40分のティタイムを待つまでの時間は「ことさらに長く感じられた」とシェフラーは振り返った。

 その長い待ち時間に、まだ宿舎で妻と2人で朝食を取っていたシェフラーは「まるでベイビーのように泣いた」という。

「どうしたらいいか、わからない。僕には、まだ、マスターズで勝つための準備なんて、できていないんだ。こんなすごいこと、僕には到底できそうもない……」

【次ページ】 妻メレディスが夫にかけた言葉

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