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ジャックドール陣営「必ずしも逃げにはこだわらない」宣言の“真意”は? オープン前から“大阪杯が目標”だった上がり馬が覚醒した日
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byPhotostud
posted2022/04/01 20:00
前走・金鯱賞(GII)で重賞初勝利勝利を収めたジャックドールと藤岡佑介
3歳時にハイレベルな共同通信杯を制すと、3馬身抜け出して皐月賞を優勝し、デビュー以来4戦4勝。続く日本ダービーこそシャフリヤールにハナ差屈したが、秋には天皇賞・秋でコントレイルやグランアレグリアといった歴戦の古馬勢を撃破し、続く有馬記念もディフェンディングチャンピオンのクロノジェネシス以下に決定的な差をつけて完勝。騎乗していた横山武史騎手は当時、目を白黒させて次のように言っていた。
「天皇賞を勝った時に比べると、正直今回は何とか維持しているかな、という程度のデキでした。これで完勝してしまうのだから恐ろしい。古馬になってもっとパンとしてくればどれだけ強くなるのか……。楽しみしかありません」
逃げ馬ジャックドールが覚醒した日
これらGI馬を相手に「胸を借りるつもりで挑ませます」と藤岡健一調教師が語るのがジャックドール(牡4歳)だ。
一昨年、2歳時の新馬戦では2着に惜敗すると、続く未勝利戦も2着。ひと息入れて3歳の春の未勝利戦で勝利したものの、直後に出走したプリンシパルSでは5着に敗退した。藤岡調教師は当時を次のように述懐する。
「調教では抜群の動きを見せてくれ、能力があるところは示していたのでデビューさせたけど、正直、当時は体質面でまだ弱いところがありました。使うと疲れが残ったし、ソエも出て、思うように力を出させてあげられませんでした」
それでも未勝利を勝ち上がった時は2着馬に9馬身もの差をつけており「徐々にではあるが強化されていった」と言う。
そんなジャックドールが一段とステップアップしたのは昨夏の事だった。指揮官は言う。
「プリンシパルSの後、かなりガクッときたので、吉澤ステーブルウエストに放牧に出しました。そこでまずは疲れをしっかり取り、その後、ゆっくりと状態を上げていってもらいました」
そして秋になる頃にはだいぶ強化されてきたという。
「秋初戦(21年9月11日の1勝クラス)の頃はまだトモに弱さが残っていたのですが、そんな中、強い勝ち方をしてくれました。こちらが思っている以上に中身は出来ていたのだと感じました」