スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
「ロナウジーニョの靴が無造作に」「ピッチが本当に硬いんです」改築を担当した日本人だから語れる“バルサとカンプノウのウラ話”
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/03/21 11:02
バックスタンドから臨むカンプノウ。改築なった姿を想像するだけでも、心が躍る
伊庭野「一度だけ調査でホーム側のロッカーに入ったことがあるのですが、ロナウジーニョの靴とか、ロマーリオの靴とかが、無造作にガラスボックスの中に入っていてびっくりしました」
――スタジアムツアーで見られるのはアウェー側だけですよね。
野村「あ、でも今はありますね。高いチケットで」
――通常のツアーではなく?
野村「そうそう。プレミアムチケット」
伊庭野「ピッチの中でチャンピオンズリーグのトロフィーを持ち上げて写真が撮れたり、お土産もついていたりと充実しているようです」
野村「バルセロナでカンプノウのスタジアムツアーが年間200万人の来場者数で、年間300万人のサグラダファミリアの次に来るツーリストアトラクションですからね。ミュージアムだと、スペインでは入場者数がプラド美術館の次ですからね。ただ、やっぱりみんなが見たいのってスタジアムですよね。ミュージアムももちろん見るけれども、来て一番見たいのはやはりピッチでは?」
風間「ピッチレベルに立った景色とかですよね」
――サンティアゴ・ベルナベウもそうですけど、すごくコンパクトですよね。
伊庭野「本当にコンパクトですよね。スタジアムの断面図を見ると分かるのですが、1段目は完全に下に埋まっている。外から見えるのは上の3分の2だけなので、初めて見た時、約10万人のスタジアムなのに、思ったよりも小さいなと感じました。またサッカー専用スタジアムなので、ピッチと観客の距離が本当に近く、一人一人の顔が見えるぐらいぎゅっと詰まっているな、という印象はありますね」
最後に、カンプノウをどう楽しんでほしいか
――最後にカンプノウのここを見てほしい、こう楽しんでほしいというメッセージをお願いします。
野村「やっぱりサッカーじゃないですか。ここに来る目的はサッカーを見ることだと思うので。それが今までよりもいい環境で見られるよう携わっていますが、やっぱりサッカーを見て欲しいですよね」