各団体のトッププロが参戦するMリーグにおいて、“芸能界最強雀士”と称された萩原の成績は芳しくない。昨季は全30選手中最下位に沈み、今季も個人・チームともに低迷が続いている。それは決して“運”によるものではなく、自身の実力不足だというのが萩原の考えだ。

　しかし同時に「運の部分もあり、実力の部分も間違いなくある」というゲームとしての特性が、将棋や囲碁、チェスのような「二人零和有限確定完全情報ゲーム」とは異なる麻雀の魅力の核心だと力説する。

「テンパイ者がふたりいて、かたや待ち牌が山に5枚、かたや2枚という状況でも、5枚の人が必ず勝つわけじゃない。その揺らぎ、偶然が勝負を分けるわけです。半荘でリーチを9回かけても負けることはあるし、絶対王者のような立ち位置の多井隆晴選手（渋谷ABEMAS）でも『いつもなら絶対ツモってるのに』みたいな手をなかなかツモれないとか、村上淳選手のように攻めても攻めても箱ラスになってしまう、ということもある。もちろん打ち方がおかしいわけでは決してない。最善を尽くしてもなお結果に直結するとは限らないし、それを受け入れるほかはない。でも、それこそが麻雀の面白いところだと思うんです」

「キツいことはたくさんある」結果が出ない苦しみも

　2018年、Mリーグに参戦するため日本プロ麻雀連盟に所属するプロ雀士となった萩原は、麻雀界の広告塔の役割を自ら買って出た。同年8月のMリーグドラフト会議において、TEAM雷電よりドラフト1位指名を受けて同チームに加入。しかし先述したように成績はふるわず、ネット上を中心に厳しい批判に晒されることも少なくない。

　Mリーグにおいて結果が出ないことの苦しみを誰よりも味わっている萩原は、「キツいことはたくさんありますよ」と本音を漏らす。

「もちろんMリーグへの注目度が上がることは、大きな視点で見たら麻雀界にとってはいいことなんです。SNSでもMリーグの関連ワードがトレンド入りするくらい盛り上がっていますからね。でも、当事者である選手たちはみんなキツいと思う。やっぱりどこまでいっても生身の人間なので」

　取材中に繰り返し「勝つことが一番のファンサービス」と口にしたように、結果でファンの期待に応えたい気持ちは強い。しかしそれ以上に、萩原には「Mリーグに参戦している32人の選手全員がカッコよくなければいけない」という思いがある。

「選手としてはもちろん勝ちたいし、常に全力で勝ちにこだわっています。だからこそ個人として、TEAM雷電として、結果が伴わないのは本当に申し訳ない。でももっと大切なことは、麻雀界全体が盛り上がること。最終的にどのチームが勝ったとしても、ファンに『今季のMリーグは素晴らしかったね』と感動してもらいたい。僕もその一員として、恥ずかしくない麻雀を打っていきたいと思っています」＜後編へ続く＞

#2に続く

「アイツはもう役者じゃない」と言われても… 萩原聖人が俳優と麻雀の“二刀流”に挑み続ける理由「競技としての地位を上げたい」