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JリーグPRESSBACK NUMBER
岩政大樹が語った「ライセンス制度への本音」と日本サッカー“指導者育成”の問題点「これをやれ、わかりました、では頭打ちに」
posted2022/02/19 11:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
2018年の現役引退後、解説者だけでなく、書籍や動画など、さまざまなメディアでサッカーを表現してきた岩政大樹。論理的な視点と明確な言葉でピッチ上の現象を伝えてきた論客は、2020年にS級ライセンスを取得すると、2021年に上武大学サッカー部の監督に就任。プロチームの監督へと歩みを進める岩政に、自身のこれまでのキャリアと、日本の指導者ライセンスや指導者育成の現状について話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)
※2021年12月上旬に実施された本稿の取材時点で来季の去就は未定だったが、取材から約1週間後、2022年シーズンは鹿島アントラーズのトップチームコーチに就任することが発表された。
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――監督の評価というのは、どのカテゴリーにおいても難しいものですよね。どうしても勝敗に注目が集まります。
たとえば日本代表に日本人監督を起用するときに、Jリーグで優勝していることを評価する傾向もありますが、日本代表はワールドカップにおいてはダークホースという位置づけ。強豪クラブを率いた監督がはたしてふさわしいのか、という見方もあると思うんです。違う評価体系で語らなければいけない側面もあるはず。監督を評価する基準というのは、優勝する戦力を抱えている指導者と、そうでない指導者とでも違うだろうし、J1とJ2、J3というカテゴリーでも異なるものです。
もちろんプロですし、勝負事なので勝つことは重要ですが、それが評価基準のすべてになるのは少し違うとも感じます。選手の場合は、能力が成長するにつれて上のカテゴリーへと移籍し、海外へ行くというような道があるけれど、指導者はそうなっていないと感じることはあります。
――浦和のリカルド・ロドリゲス監督やFC東京のアルベル・プッチ監督など、J2からJ1へ、という例はありますね。そういったケースにしても、「評価する側」の力量が問われてくるわけですね。
そうですね。おそらく監督がどう介入したかによって、ピッチ上がどう変化したのかを評価できる人がまだ少ないんじゃないでしょうか。だから、勝敗という目に見える部分での判断になってしまうのかもしれません。しかしヨーロッパならば、たとえ勝っていないチームでも、こういう戦力で、こういう現状のなかで、何を生み出し、チームをどう変えたのかというところを見て、サッカー的な観点から監督を選べる人間が少なくないと思います。