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野球殿堂入りの資格を失ったボンズとクレメンス、ステロイド“黙認時代”だったから許されるべき?《アメリカで議論に》

posted2022/02/03 17:00

 
野球殿堂入りの資格を失ったボンズとクレメンス、ステロイド“黙認時代”だったから許されるべき?《アメリカで議論に》<Number Web> photograph by Getty Images

メジャー通算762本塁打、唯一の500本塁打500盗塁のボンズ(左)と、354勝、サイヤング賞7度のクレメンス。二人の偉業が再評価される日は来るか

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 2022年の米国野球殿堂の投票結果が、米国時間1月25日、発表され、レッドソックスなどで活躍したデビッド・オルティス氏が資格1年目で選出された。その一方で、有資格最終年の10年目となるバリー・ボンズ、ロジャー・クレメンスの両氏が、選出基準となる得票率75%に届かず、資格を失ったことで、米国では新たな論議が噴出し始めた。

 投打こそ違えども、ボンズ、クレメンスとも、その傑出した実績に異論を唱える必要はない。ボンズ氏はメジャー最多の762本塁打を放ち、クレメンス氏は史上最多となる7度のサイ・ヤング賞を獲得した。それでも、1990年代後半から2000年代前半までの「ステロイド時代」の暗い影は、今もなお、拭い去ることはできなかった。

 彼ら2人には、本当に殿堂入りする資格がないのか――。

禁止薬物黙認の時代

 薬物スキャンダルが表面化したのは、2000年代初頭だった。90年代後半、マーク・マグワイア、サミー・ソーサの本塁打記録が全米中の脚光を集め、1995年のストライキでファン離れが続いた野球人気が復活する土台となった。当時は、多くの選手がアッという間に筋力を蓄え、投手は球速アップ、打者は本塁打増が進むなど、パワー信奉が一気に広がった。

 その一方で、栄養食品会社「BALCO」が、選手にステロイド(筋肉増強剤)を供給していた事実が発覚。ボンズら複数の選手が、疑惑の対象としてクローズアップされた。ただ、その当時は、薬物の規制がルール化されておらず、多くの選手がステロイドや興奮剤などを常用していることを認識した上で、日常のプレーを続けていた時代だった。つまり、球団関係者やメディアだけでなく、コミッショナーを含めた機構内の全員が「黙認」していた時代だった。

 その後、03年から使用禁止薬物が規定され、薬物検査が本格化した。04年以降は罰則規定も加わり、その後、出場停止処分が強化された。07年には球界の内情を調査した「ミッチェル・リポート」が公表され、ステロイドなどを使用したとされる80選手以上の実名が明らかにされた。その中には、すべての検査をパスしてきたボンズ、クレメンスの名前も含まれていた。両氏とも、引退後、裁判に持ち込まれ、いずれも意図的な薬物使用は立証されなかったものの、限りなく「グレー」に近いイメージが残ったことは否定できない。

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