武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
“ご意見番”武蔵丸の本音「御嶽海おめでとう…でも大関昇進のハードルは高くしたほうがよい」「決定戦なら阿炎の優勝だったな」
posted2022/01/24 17:02
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
Sankei Shimbun
御嶽海、優勝&大関昇進おめでとう……と手放しでお祝いしたいところだけど、昇進は、僕はもうひと場所見てからでもいいと思っていたんだよね。場所前には大関取りの話題もムードもなくてあやふやだったのに、終わってみたらいきなり昇進って、僕は「え?」と驚いたんだよ。思えば貴景勝は新大関の場所で休場して負け越し、正代も初優勝して大関に昇進したものの、翌場所は負け越し。昨今の新大関昇進直後の成績は、安定してないんだよね。昇進目安の数字をクリアしても、もう少し様子を見て、逆に昇進のハードルを高くしたほうがよいくらいだよ。そこは甘やかしてはいけないと思うんだ。焦って昇進させても、カド番を繰り返すばかりの今の大関たちと同じことにならないか? 結果、昇進後の本人たちが苦労することになってしまうんだもの。
「阿炎は“いい顔”になったね」
12勝して最後まで優勝争いをした阿炎、変わったねぇ。謹慎処分以前はニコニコヘラヘラしてたけど、真面目になって“いい顔”している。スイッチが入っている感じだな。もし照ノ富士と御嶽海との優勝決定巴戦になっていたら、きっと阿炎が優勝していたと思う。これからもっと自信を持って行けば、初優勝も近いよ。でも、相撲にはまだ雑なところがあるんだ。“我慢”が大事なのね。焦らないで、要所要所で我慢するんだよ。相手に押されないように我慢して、そこでこっちが押し返す。背もあって上から下に押しているから、どうしても膝が高くなってしまうところがある。意識して下から上に押さなきゃ。13日目の御嶽海戦は、下から押していれば勝っていた相撲だった。去年の九州場所での横綱照ノ富士戦も、あと一歩のところで惜しかったけれど、ボクシングの“ワン・ツー・スリー”“ジャブ・ストレート・フック”のようにコンビネーションで押すといいんだ。「上・上・下」というように、右、左と上半身を押したあとは下――腹の近くを押すのね。上ばっかり突き押しするから、自分の膝も伸びていっちゃうんだよ。あと、立ち合いをもっと磨いた方がいい。立ち合いから相手を持って行っての「上・上・下」コンビネーションね。そうすれば怖いものナシだよ。これから先が本当に楽しみなお相撲さんになってくれたよな。
「貴景勝はやっぱり稽古不足なんだよ」
4日目から休場してしまった大関貴景勝だけど、ケガが多いってことはやっぱり稽古不足なんだよ。