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《追悼》『ドカベン』『あぶさん』水島新司さんは少年野球マンガの何を変えたのか? 「野球は巨人」「打者は全打席ホームラン」が定番だった 

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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photograph byJIJI PRESS

posted2022/01/17 15:30

《追悼》『ドカベン』『あぶさん』水島新司さんは少年野球マンガの何を変えたのか? 「野球は巨人」「打者は全打席ホームラン」が定番だった<Number Web> photograph by JIJI PRESS

46年続いた野球漫画『ドカベン』の連載が最終回を迎えた「週刊少年チャンピオン」特別号

柔道漫画だった『ドカベン』

『ドカベン』は週刊少年チャンピオン連載初期は柔道漫画だったことから、野球漫画の代名詞でありつつも、秋田書店から販売される全48巻の単行本は意外や「野球コミックス」ではなく「学園コミックス」とされている。

 アニメ版ではほぼ端折られてしまったが、柔道漫画時代も「いずれは野球漫画へとシフトするぞ」という水島先生の意思がヒシヒシと感じられる伏線が張られつつ、同時期に同じく週刊少年チャンピオンに連載中だった『泣くな!十円』(つのだじろう)から主人公の十円君が銭湯シーンで度々ゲスト出演していたり、柔道漫画というかスポーツ漫画全体の先駆け的存在である『イガグリくん』(福井英一→有川旭一)が、時を経て柔道界の重鎮・伊賀谷栗助(いがや・くりすけ)としてそのまま登場。ミイラ怪人軍団(正体は米国柔道選手)との対決や、空手家・幽鬼鉄山との異種格闘技決闘など、野球時代しか印象にない読者からすると、かなり驚きの山田太郎の姿が見られる。

『あぶさん』とのリンクに期待が集まっていたが

 水島先生はドカベン以外にも数々の名作野球漫画を残したが、時を追うごとにドカベンを軸として、数々の作品が大河の如く合流、つまりリンクしていたことでも知られる。

 続編『大甲子園』にて『男どアホウ甲子園』や『球道くん』『一球さん』と世界観がつながり、1995年からは山田太郎らがプロ野球選手となり『ドカベン プロ野球編』がスタート。2004年からの『~スーパースターズ編』からは、ついに『野球狂の詩』とリンク。さらに2012年からの『~ドリームトーナメント編』となると、水島作品の中では、ややマイナー視される『光の小次郎』『へい!ジャンボ』『おはようKジロー』『ダントツ』『野球大将ゲンちゃん』『極道くん』などのキャラクターや、そもそも野球漫画ですらない『アルプスくん』(※プロレス漫画)の主人公までが登場。

 その後は、水島ワールドの集大成として西の大横綱『あぶさん』とのリンクに期待が集まっていたが、今回の引退宣言により、それは夢幻に終わってしまった。

【次ページ】 野球観すらも変えた水島新司

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