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15年前の創部で、甲子園スターもいないのに…社会人野球で台頭する“意外な”大学OB ある大学監督「即戦力になる選手は東都や六大学に行く」
posted2021/12/17 11:05
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
実は、以前から不思議に思っていた。
それが、最近は「すごい!」と思うようになってきた。
桐蔭横浜大OBたちの活躍が、社会人球界でめざましい。
東京ガス(東京都)の優勝で幕を閉じた今年の「都市対抗野球」でも、桐蔭横浜大出身の選手たちが、大事な場面で印象的な活躍を何度もやってのけ、見る者の記憶にその存在感を間違いなく刻みつけた。
なぜ、桐蔭横浜大OBたちが社会人野球のいたるところで台頭しているのか?
社会人野球やプロに進んでから、その活躍が話題になった大学野球部は、たとえば、亜細亜大、東北福祉大、國學院大、上武大……いくつかあったが、桐蔭横浜大もその中に入れて考えても、全然おかしくないような「現実」があるように思う。
今年の都市対抗野球に出場していた桐蔭横浜大OBたちを挙げてみる。
ホンダ ・片山皓心・23歳・投手・左投左打・日立一高(社会人1年目から強豪社会人のエース)
北海道ガス・大城祐樹・25歳・投手・右投左打・遠軽高(大器晩成…3年目でエースに台頭)
JR東日本東北・西村祐太・32歳・投手・左投左打・浦和北高(2017年日本選手権で完全試合達成の社会人球界のレジェンド)
同・鈴木聖歩・24歳・外野手・右投左打・東北高(今年の都市対抗で勝利にからむ長打連発の3番打者)
同・手島涼・23歳・捕手・右投右打・山梨学院高(プロ級の鉄砲肩を持つ新鋭捕手)
かずさマジック・渡邉力哉・22歳・投手・左投左打・木更津総合高(難しい場面で中継ぎをこなすルーキーサイドハンド左腕)
同・内山翔太・26歳・内野手・右投右打・成田高(強肩・強打でBCリーグ・栃木でもレギュラー遊撃手)
ハナマウイ・平野暖周・26歳・投手・右投右打・相洋高(急成長のチームでエースを張る剛球右腕)
NTT東日本・喜納淳弥・29歳・内野手・右投左打・成立学園高(全日本クラスの勝負強さで強豪チームのクリーンナップ)
トヨタ自動車・西潟栄樹・29歳・外野手・右投右打・成立学園高(数年前はトヨタでクリーンアップ、今季は代打の切り札をつとめた)
日本生命・高橋拓已・27歳・投手・左投左打・前橋育英高(毎年のようにドラフト候補に挙がった左腕エース)
西部ガス・山中雄士朗・29歳・内野手・右投左打・長崎商高(つなぎ役としていぶし銀の味を発揮するベテラン二塁手)
桐蔭横浜大監督「OB同士の対決がいくつもあったんです」
「その上、今年の都市対抗では、OB同士の対決がいくつもあったんですよ」
桐蔭横浜大・齊藤博久監督の声は、電話でも、「あ、安倍さん……」の最初のひと声で、いつもその人とすぐわかる。
低めのバリトン、メリハリの効いた話しぶりが、いつも胸に来る。