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森保監督の著書を徹底解析して分かった、日本代表からぬぐえない“危機感”の正体「プロセスは明かさない」「絶対に許さないタイプは…」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2021/12/06 17:03

森保監督の著書を徹底解析して分かった、日本代表からぬぐえない“危機感”の正体「プロセスは明かさない」「絶対に許さないタイプは…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

10月12日のオーストラリア戦で声を張り上げる森保一監督

(3)〈気持ちの浮き沈みは選手に見せない〉

 ただ、実際にかなり変わってしまった、あるいはそんなポリシーから逸脱していると受け止めざるをえない部分がある。そして、それを嘆かずにはいられない。再び、著書に戻ろう。

◆◆◆

 自分の気持ちの浮き沈みを選手に見せないように気をつけています。元々、僕は浮き沈みがあまりない方なのですが、もし僕がそれを見せてしまったら選手にも伝播してしまうだろうし、何より僕自身ができるだけ自然体でいたいので、そこは意識している部分です。(『プロサッカー監督の仕事』より)

◆◆◆

 これについては10月、もし勝てなければ解任かと報道されていたオーストラリア戦で勝利を収めたあとのことを思い出す。

 終了直後、監督がW杯出場を決めたかのように喜びを全身で表現していた。そして、森保監督がスタンドに向かって、マスクを外し、スタンドにいるサポーターに感謝の言葉を叫んでいた。なお、この場面は中継で映され、その絵に合わせて森保監督の人柄が絶賛されていった。

 そういえば、最近もこんなことがあった。11月16日のオマーン戦後、変な質問であることをわびつつ、筆者はこう聞かせてもらった。

「後半30分ころ、中山(雄太)選手がシュートを打ったタイミングで森保監督が『入れ!』と叫んでいた声をマイクが拾っていましたが、あれは選手と一緒に戦っているから自然と出るものなのでしょうか?」

 その答えがこうだ。

「私も一緒に戦っています。(音声が)拾われていたんですね。あれは結構、いつも言っていて……。タイミング的にも、雄太がシュートを打つタイミングがすごく合っていたので、自然と出た言葉かもしれないです。恥ずかしいです、そこを拾われていたのは(微笑)」

 ハニカミながらも、きちんと答えてくれた。そんなところからも、監督の人柄の良さは、表われていた。

「森保監督=善人」論の問題点

 でも、やはり、あのオーストラリア戦の一連の振る舞いは、日本人のスポーツライターとしては悲しくなった。

 理由は2つ。

 1つは、監督の手腕の善し悪しを議論しながら日本サッカーをみんなで発展させていくべきなのに、良い人であるかどうかが判断基準へとすり替わってしまうリスクがあるからだ。

 日本代表に関わるにふさわしい能力を持った監督や選手がいても、それを見る人たちが、良い人か悪い人かの基準で判断していく世界線には、暗い未来が待っている。何より、子どもたちと未来には希望を与えるべき代表チームがそれで良いはずがない。

【次ページ】 森保監督が「情報量」を重視するからこそ…

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