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「家に帰るのは22時か23時」それでも少女はプロレスを選んだ “スターダムの申し子”渡辺桃の「赤いベルト」への執念<特別グラビア> 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2021/11/21 17:00

「家に帰るのは22時か23時」それでも少女はプロレスを選んだ “スターダムの申し子”渡辺桃の「赤いベルト」への執念<特別グラビア><Number Web> photograph by Essei Hara

スターダムの人気ユニットQQ(クイーンズ・クエスト)でリーダーを務める渡辺桃。中学生時代の思い切った選択が、彼女の生き方を決定づけた

「後輩に負けていられない」赤いベルトへの執念

 渡辺は赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)に、憧れに近い執念を見せる。

「ドラゴン・キッドさんが好きでプロレス界に入ったので、昔はハイスピード王座が目標でした。白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)はイオさんから取って防衛もしたので、もう白はいいかな、と。だから、赤いベルトですね。一番上のベルトだし」

 昨年、渡辺は1月に岩谷麻優、12月に林下詩美と、合わせて2度赤いベルトに挑戦したが、戴冠はかなわなかった。赤いベルトが欲しい。しかし、渡辺には意地がある。

「まずは結果を出してから。『5★STAR GP』で優勝もしていないのに取りに行くのは、プライドが許さないので」

 渡辺が次に赤いベルトにチャレンジする時、チャンピオンは誰なのだろうか。

「誰がチャンピオンの時に勝ちたいか? 詩美でも、岩谷麻優でも、朱里でも、その3人なら誰でもいいですね。詩美はQQ(クイーンズ・クエスト)の後輩ですから、負けていられないというジェラシーがある。もし朱里が持っていても、攻めていきます。1回も勝っていないんですよ。なかなか越えられない壁だけど、蹴りで勝ちたい。朱里はいつか勝ちたい相手ですね」

大ケガによる欠場も「落ち込むことはなかった」

 渡辺は2017年2月、大きなケガ(右前膝十字靭帯損傷)で戦線を離脱した。QQの紫雷イオとHZKと組んでアーティスト(6人タッグ)のベルトを取った直後のアクシデントで、一度も防衛戦ができないままベルトを返上した。

「16歳でしたし、『まだ若いから大丈夫』と言われて能天気に欠場していました(笑)。周りの大人のやさしさに救われましたね」

 渡辺は約9カ月試合を休んだ。

「落ち込むことはなかったです。早くリングに戻りたい気持ちはありましたけど、マイペースなので。どうにもならないことは気にしないタイプ。結構、メンタルは強いと思います」

 タッグパートナーのAZMとはデビューしたころから組んでいる。息の合ったタッグチームで、互いへの信頼は絶大だ。今年のタッグリーグ戦では優勝を逃したが、昨年は優勝している。AZMも「隣にいてくれると心強い」と語っていた。

「対立していた時もありました。まあお互い、子供のころから一緒にいるので。仲良くなり過ぎかな、と思うこともありますけど(笑)」

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