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「ボールに触りたくない…」湘南の“遠藤航2世”はアンカー恐怖症をどう克服したのか 田中聡19歳が語る「残留争いとパリ五輪」 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2021/11/20 11:01

「ボールに触りたくない…」湘南の“遠藤航2世”はアンカー恐怖症をどう克服したのか 田中聡19歳が語る「残留争いとパリ五輪」<Number Web> photograph by Getty Images

19歳という年齢を感じさせないプレーで湘南ベルマーレを牽引する田中聡。チームをJ1残留に導くことができるか

「敏さんはずっと使ってくれましたし、智さんには『怖がらずに受けてチャレンジしよう。失敗しても死ぬわけじゃないんだから』と言ってもらいました。そういうメンタルでプレーしたら、うまくいくようになっていったんです。智さんには細かいことを色々と教えてもらっていて、難しいですし要求も高いですけど、いまはアンカーをやっていてすごく楽しいですし、どんどんボールが欲しいですね」

 メンタルが前向きにセットされれば、戸惑いや迷いにとらわれることはない。9月26日の川崎フロンターレ戦では、ゴール前へ思い切りよく飛び出して先制点を蹴り込んだ。

「4月の広島戦のプロ初ゴールも、川崎戦の得点も、意識して前に出たわけではなく、勝手に身体が動いた感じでした。そういうシーンを増やすことができれば、もっと点を取れるんじゃないかと思います。意識して前へいこうとするとボールが来なかったり、シュートを外したりするので、そこはまだ探りながら、というか。シュート練習もたくさんして、ロングシュートも決められるようになりたいです」

「航さんは一番の目標。少しでも近づきたい」

 10月末にはU-22日本代表に招集され、カンボジア、香港とのAFC U23アジアカップ予選に臨んだ。2001年1月1日以降生まれの選手がほとんどを占めたチームは、24年パリ五輪世代の第一歩でもあった。

 田中は「そういうことをよく言われますが」と切り出し、表情を崩すことなく話す。19歳は現実を冷静に見つめている。

「あと2年後、3年後になると、いま選ばれている選手のうち半分選ばれたらいいぐらいじゃないかなと思っています。それだけ生き残るのは難しいので、パリ五輪は目指していますが、先を見すぎずにいまを大事にして取り組んでいきたい。そうすることで、五輪やA代表につながっていくのかな、と思います」

 ベルマーレのアカデミーからトップチームに昇格し、五輪代表や日本代表へステップアップした選手と言えば、遠藤航があげられるだろう。19年のU-20ワールドカップでキャプテンを務め、現在はロシアのルビン・カザン所属の齊藤未月も、アカデミー出身である。

 そして、遠藤も齊藤もボランチだ。どちらも複数ポジションに対応するポリバレントなタイプだが、現在はボランチを主戦場としている。田中にとってはロールモデルとなるプレーヤーだ。

「航さんは一番の目標、目指すべき存在だと自分でも思っています。1対1の強度だったりデュエルだったり、攻撃にも参加できて縦パスもボンボン入れて、点も取ることができますし」

【次ページ】 19歳という年齢は「世界的に見たら全然若くない」

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