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《特別グラビア》水着写真集で批判されても…“美容師”ファイター菅原美優21歳が語るチャンピオンの覚悟「誰に何を言われても頑張る」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNaoko Tachibana
posted2021/11/19 11:05
菅原美優1st写真集『きゅんです』より
もともとの得意技は蹴り。特に顔面への前蹴りは空手時代から体に染み込んでいて無意識に出る。「癖みたいなもの」と本人は言う。ジュニア部門では男子とも対戦するからパワーに頼らない闘い方になった。遠い間合いから顔面を蹴って的確に「技有り」を取っていくスタイル。それがプロでも活きた。そこにパンチが加われば、ファイトスタイルの幅が広がる。
練習でも試合でも、毎回、課題をもって臨みそれをクリアすることで強くなってきた。デビュー2戦目で初黒星を喫したが、そこから連勝でKrush王座戴冠。だがビジュアル面で注目されることも多かったから、その分やっかみのような批判もつきまとった。試合に負ければ「それ見たことか」となる。
昨年春、専門学校を卒業して美容師として働き始めた。それは格闘家以外の、もう一つの夢だった。けれど「格闘技に専念したほうがもっと強くなれるんじゃないの?」という声を聞くこともある。負けたらなおさら「仕事なんかしてるから」と言われてしまう。よくある“ファイターとしてはまだ食えないからバイト”ということではないのだが。
「美容師は自分でやりたくてやってることなので......。今年は後輩もできて、責任感がより強くなりました。社会人として学んだこと、学べることも多いし、それは格闘技にも活かせると思ってます。もちろん、それを証明するためには結果が必要なんですけど。
だから仕事のことを言われると“絶対に勝つ!”ってなりますね。負けん気に火がつきます」
バニーガール姿での撮影も。菅原が考える“使命”
9月には写真集を発売、紹介記事が週刊誌にも掲載された。『きゅんです』というタイトルも“水着あり”の内容もアイドルさながら。自分でも「こんなことになるとは思ってなかった」という。
「特にバニー(ガール)の写真はちょっと(苦笑)。撮影してもらいながら“あれ、私何してるんだろ”ってなりましたね。でもカメラマンの立花(奈央子)さんもスタッフのみなさんもみんな優しくて、凄く楽しい撮影でした。勉強にもなりました」
芸能人じゃないんだから。そういう批判は避けられない。対戦するMIOからも、記者会見で揶揄された。写真集の仕事は以前から決まっていたことだが、その後も取材は増え続けているという。
「前の試合で負けてるのになんで? と自分でも思いました。でもスタッフの方から“それが美優ちゃんの役目なんだよ”って言われたんです。そうか、私はこの角度からK-1、Krushを広めていくのを期待されてるのか。それなら頑張らなきゃって。求められてる仕事だから、誰に何を言われても頑張るだけです」
最初はアイドル人気でも、写真集の話題でも、それが試合への注目につながるのならそれでいい。“コロナで欠場”から復帰戦の前に写真集発売というのはいかにもタイミングが悪かったが、それも含めて今の菅原は腹を括っている。