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《特別グラビア》水着写真集で批判されても…“美容師”ファイター菅原美優21歳が語るチャンピオンの覚悟「誰に何を言われても頑張る」
posted2021/11/19 11:05
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Naoko Tachibana
K-1系列の格闘技イベントKrush、その11月大会(20日、後楽園ホール)は前売チケットが完売になった。
高い注目度をもたらしているのは、メインイベントの女子アトム級タイトルマッチ。チャンピオン・菅原美優とMIOの対戦だ。このカードが組まれるのは“都合3度目”となる。
初戦は5月のK-1。ノンタイトル戦ながらMIOが判定勝ちを収めた。MIOは高校時代からシュートボクシングで活躍し、チャンピオンに。キャリアは40戦を超える。昨年からK-1に戦場を移し、ルールの違いにも慣れてきたところだった。K-1系大会でのキャリアは菅原のほうが上なのだが、それでもトータル8戦、まだ21歳だ。MIOほうが経験値、あるいは“貫禄”で上回っていた。
「やっぱり自分には格闘技がないとダメ」
となればベルトをかけてのリマッチが必然。試合は8月に組まれた。だが菅原の欠場により延期に。新型コロナウイルスに感染してしまったのだ。試合に向けた練習が大詰めを迎える頃だった。
実は、試合前に風邪などで体調を崩す格闘家は少なくない。試合前の“追い込み”からくる疲労に加え減量もある。そのことで免疫力が落ちる。風邪ならば数日で治るが、菅原の場合はコロナだった。時期を考えれば“どれだけ気をつけていてもかかる時はかかってしまう”と受け止めるしかない。
2週間の隔離と療養。「5日くらい熱が下がらなくて、そのうち味覚もなくなってきました」と菅原は振り返る。体重も3kg減った。
「一番辛いのはジムに行けないことでした。私はケガをしてもジムには行くタイプ。ジムの空気が好きなんです。みんなが頑張ってる空間に一緒にいたい。でも今回はそれができなくて。
練習を再開しても、なかなか体調が戻らなかったですね。点滴しないと眠れないこともありました。一般会員さんみたいな練習から徐々に、という感じでした。
練習を見てくれた大宮司さん(所属ジム・シルバーウルフ代表の大宮司進氏)、MIOさんには本当に申し訳ない気持ちです。ただこの期間で、格闘技に対する気持ちは今まで以上に強くなりました。練習できないとうずうずするんですよ。やっぱり自分には格闘技がないとダメなんだなって」
昨年春からは美容師としても働いている
欠場前から取り組んできたのはパンチの強化だ。ボクシング王者とのスパーリングも重ねてきた。コロナで練習は一からやり直しとなったが、積み重ねてきたものはそう簡単に消えないだろうと考えている。それだけ手応えのある練習ができていたのだ。