酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「僕は一番へたくそなんで…」楽天ドラ3前田銀治は、保育園児と仲良しになれる愛されキャラ《公立高校生の野球教室》
posted2021/11/16 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
今春の甲子園には「21世紀枠」で、静岡県立三島南高校が初出場した。同校は三島市内を中心に、幼稚園、保育所を回って子どもたちを相手に「野球教室」を実施してきた。昨年の秋季大会の実績に加え、その活動が評価され21世紀枠での出場が決まったのだ。
11月8日、三島南は三島市立青木保育園で「野球教室」を行った。
「21世紀枠」での甲子園出場は、2018年に定められた「高校野球200年構想」にある「普及」活動に則っているとして評価されたものだが、三島南はこの構想が決められるはるか前の2014年から、幼稚園、保育所での「野球教室」を行っている。稲木恵介監督が「野球離れ」をひしひしと感じ、危機感をもって始めたのだ。
「最初のうちは、受け入れる幼稚園、保育所も“よくわからない”という感じでした。また地元高野連からは、“ユニフォームで活動するな”とも言われました。でも、こうして続けているうちに、少しずつ理解も進みました。そして春の甲子園に出場したことで、私たちの活動が一気に認められるようになりました」
コロナ禍で制限された野球教室が久々に復活
三島南は小学校でも野球教室を行っている。「野球を教える」ことは「野球をする」こととともに三島南の「両輪」になっている。
しかし昨年は新型コロナ禍で野球部の活動も、野球教室も厳しく制限された。
「この2年間、野球教室はほとんどできませんでした。新チームになった1年生、2年生にとっては幼稚園、保育所の野球教室は今回が初めてです。できるようになって本当に良かった」
サポート役の3年生・前田に集まった注目
朝9時、青木保育園の門の前に高校球児たちが集まったが、今回はテレビカメラを構えたスタッフや、メディアの姿もあった。
メディアのお目当ては3年生の前田銀治である。
春の甲子園の鳥取城北戦で4打数2安打1三塁打を記録。スケールの大きな外野手として注目を集め、10月11日のドラフト会議で楽天から3位に指名された。他の選手に混じってもひときわ大きな体格は目立つ。体の分厚さは半端ではない。