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《エリ女》直近10年で“最低人気V”は7番人気のアノ馬だった…大ベテラン柴田善臣が強豪たちを破り「小さくガッツポーズ」できたワケ
posted2021/11/13 17:02
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
AFLO
今週末、エリザベス女王杯(GI、3歳以上牝馬、阪神競馬場芝2200メートル)が行われる。
通常なら京都競馬場が舞台となるこのレースだが、同競馬場の改修工事に伴い、昨年に続き2年連続で阪神競馬場が決戦の地となる。
昨年は1番人気に推されたラッキーライラックが見事に人気に応えて優勝したが、他の1番人気馬の勝利は過去10年で10年前、2011年のスノーフェアリーのみ。2、3番人気馬が5勝しているようにそれなりの人気馬が勝ってはいるが、中にはダークホースが穴をあけた例もある。
この10年で最も人気のなかった勝ち馬は12年のレインボーダリア。当時5歳のこの馬は出走16頭中の7番人気。単勝の配当は2300円もついた。
同馬の手綱を取っていたのが柴田善臣騎手だ。1966年7月生まれで現在55歳の大ベテラン。9年前の勝利時も46歳だったのだからその時点で充分にベテランのジョッキーだ。今回は当時のエピソードを記させていただこう。
柴田善臣「普通に乗っていただけですよ」
柴田善騎手がレインボーダリアと初めてタッグを組んだのはこのエリザベス女王杯の1つ前、府中牝馬S(GII)の時だった。レインボーダリアにとってはデビュー以来27戦目で初めて同騎手を鞍上に迎えたのだった。
17頭立てのこのレースで柴田善騎手の乗るレインボーダリアは後方12~13番手を追走。初めて組むコンビで鞍下の呼吸を探るように騎乗しているように見えたが、当時、ベテラン騎手は「普通に乗っていただけですよ」と口を開き、更に続けた。
「道中の手応えは良かったです。最後、追ってからも良く伸びてくれました」
4着まで追い上げるのが精一杯だったが、レインボーダリア自身の上がり3ハロンは32秒9。極限に近い末脚を駆使していた。
「この感じなら距離の延びるエリザベス女王杯でも好勝負が出来ると感じました」
大一番を前に1週前、そして最終追い切りと調教にまたがり、状態を確かめた。
「ゴール板を過ぎて止めにかかっても前の馬を追いかけようとする素振りを見せてくれました。このやる気は前走時に感じられなかったモノ。確実に良化していると感じました」