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《巨人ドラ1インタビュー》骨折でドラフト戦線“離脱”も「あきらめたくなくて」⋯翁田大勢が語る新フォーム&自己最速157キロの裏側 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph byTakahiro Kikuchi

posted2021/11/04 11:01

《巨人ドラ1インタビュー》骨折でドラフト戦線“離脱”も「あきらめたくなくて」⋯翁田大勢が語る新フォーム&自己最速157キロの裏側<Number Web> photograph by Takahiro Kikuchi

今年のドラフト会議で巨人からドラフト1位指名を受けた関西国際大のエース右腕・翁田大勢

 9月30日には緊急事態宣言が解除され、ようやく観客の入場が許される状況になった。10月4日の大阪体育大戦では、全12球団50名近いスカウトが翁田の視察のため大阪シティ信用金庫スタジアムに押し寄せている。

 バックネット裏の異様な熱気をマウンドの翁田も感じ取っていた。

「スカウトの方がたくさん入ってこられて、多少の硬さはありました。フォームを変えてからボールが荒れることはあまりなかったんですけど、この日は初回からフォアボールを2個出してしまって。こういう状況でいつも通りの力を発揮できなくて、納得のいく出来ではなかったです」

 翁田の自己分析は辛めだが、この日は最速152キロを計測し、14奪三振をマークしている。実質この1試合で翁田の評価は決まったようなものだった。

 ドラフト会議の結果を受けて、翁田は萩原に感謝の思いを伝えた。

「萩原さんからは『おお、(ドラフト会議を)見てたよ。でも、まだまだやることはいっぱいあるから』と言われました」

 自身もNPBを目指した萩原にとっても、翁田のプロ入りは感慨深い出来事だった。

「体作りを研究しながらやってきて、私では届かなかった世界ですから。サポートする立場として、彼が結果を出してくれてうれしいです。最初は『ほんまに人の話を聞いてんのか?』と思うような雰囲気だったんですけど、教えたことはきっちり覚えている。胸の内に信念を持っているヤツなんやなと感じました。とはいえ、ドラフト1位で入っても、ダメになっている選手はいっぱいいるので。謙虚に取り組んで、プロでも結果を出してほしいです」

「あきらめられなくて、あきらめたくなくて」

 一時はプロはおろか、大学野球まで終わりかねない状況だった。厳しい状況に立たされても、なぜプロを目指そうと思えたのか。そう聞くと、翁田はこう答えた。

「小さい頃にプロ野球を見に行って、選手がかっこよくて『プロになりたい』と決めました。あきらめられなくて、あきらめたくなくて。自分なりに練習して、常に目指していたものでした。巨人のドラフト1位というプレッシャーも大きいんですけど、今は1日でも早くふさわしい選手になれるよう練習して、春を迎えたいです」

 全国大会の試合に出場した経験は皆無。ずっと水面に潜り、もがいていた男が、ようやく日のあたる舞台に上がる。(つづく)

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