――みんなが必死に考えたアイディアが集まることでチームは強くなりますよね。

大野　やりがいを感じない限り、チームをもっと良くしたいという考えにはならないですよね。僕は、佐古（賢一）さん（広島ドラゴンフライズ初代HC）のもとでACとして一緒に働いた時に、プレーのデザインもさせてもらったし、練習でいくつかのパートも持たせてもらいました。そうやって責任を感じ、チームに対してその責任を果たさないといけないと考えたんです。

女子代表にも通じる「役割分担」の明確化

　昨シーズンの最終盤、アルバルク東京を111-109で下したあとに、ポイントガードの富樫勇樹はこんなことを語っていた。

「111点中の105点を（12人のメンバーの中の）5人だけで獲っていたんですけど、それは千葉らしい勝ち方です。本当に大事なのは、点数を取っている選手だけではない。原（修太）や（佐藤）卓磨のようにディフェンスで貢献できる選手がいるから、こういう勝ち方ができていて、それがうちの強みだと思います」

――女子の高田選手が挙げた「役割分担」の話で、ジェッツのことを思い出しました。HCのコンセプトや考え方が同じという意味ではないですが、『強いチームになるためには役割分担を明確にすることが大切』だと感じたのですが。

大野　僕はロールというものが大切だと考えています。“play your role”（オマエの役割をしろ）の『ロール』です。それがないと、チームって回らないじゃないですか？

――大野さんのチーム作りは、選手やポジションごとの役割を明確にして、それぞれが強みを持ち寄っているように見えます。

大野　ポジションごとに役割を決めているわけではないですが、相手の強みを消して、自分たちの強みを出すことがもっとも重要だと考えています。先ほど『ロール』の話をしましたけど、全員が背負わないといけない役割は絶対にあって、そういうものをしっかりと区分けしてあげることがすごく大事かなと。

　だから、今よりもっと大きな役割が欲しいと選手が思うなら、さらなる努力が必要だし、もっと評価を上げる必要がある。

40分間、仲良くボールを回すだけでは勝てない

――Bリーグ5年目での初優勝を振り返るとき、初年度にはルーキーだった原選手のことが想起されます。1年を通して攻守に貢献し、CSファイナルズでもチーム最初のシュートを決めました。彼の成長なしに優勝はなかったのでは？

大野HCと原修太

大野　それを評価するのは僕ではないです。でも、お客さん、記者さん、スポンサーさんなどが、『ジェッツのバスケを体現する選手になったね』と言ってくれれば嬉しいです。もちろん、まだ足りないところもたくさんありますが、彼はそういうことを理解していると信じていますけどね。

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