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《男子バレー》“苦労人”福山汰一(27)が名乗りを上げるミドルブロッカー争い…急成長の転機となった「ステップ」とは? 

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岩本勝暁

岩本勝暁Katsuaki Iwamoto

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2021/09/17 11:02

《男子バレー》“苦労人”福山汰一(27)が名乗りを上げるミドルブロッカー争い…急成長の転機となった「ステップ」とは?<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

アジア選手権で代表デビューを果たしたミドルブロッカー福山汰一(ジェイテクトSTINGS)

 ブロックの強化が急務とされる日本代表が放っておくわけがなかった。東京五輪に出場する12名からは外れたが、チームが選手村に入る直前までバックアップメンバーとして帯同した。東京五輪を映像で見て、「あと10センチ高かったら」と感じたというのも偽らざる本音だろう。

「デカければデカいほどいいな、というのが率直な感想です。今より10センチ高かったら、単純に手が出る範囲も10センチ上がる。ネットから手が出るスピードも格段に上がりますから」

 しかし、福山には身長の劣勢を補って余りあるスピードがあった。東京五輪を例に挙げるまでもなく、世界のバレーボールは以前にも増してはやくなった。それに対応するために、福山はブロックのステップに改良を加えた。

 たとえば、こうだ。ネットに正対して右側に3歩で移動する場合、これまでの習慣から移動する側の足を最初に出していた。つまり、右側に移動するときは、最初に右足を出し、次に左足を体の前に交差させ(クロスステップ)、戻した右足で最後に踏み切る。この最初の右足を捨て、左、右の2歩で移動するようにしたのだ。さらに動きそのもののスピードを上げることで、よりはやく相手のアタッカーに寄れるようになった。

バーレーン戦で隠したステップ

 しかし、バーレーン戦ではこのステップが見られなかった。なぜか。

 本人に尋ねると、「正直なところ、そこまで(バーレーンの攻撃が)はやくなかった」と、シンプルな答えが返ってきた。

「わかりやすくいうと、セッターの藤井さんが両サイドに上げるトスよりも、バーレーンは浮いたトスが多かった。そのため、すぐにクロスステップをするのではなく、先に(移動する側の足を)1歩入れた状態でも間に合うと判断しました」

 では、よりはやい攻撃を仕掛けてくるチームと対戦する時はどうすべきか。

「そうですね。(世界のバレーを映像で)見る限り、高さもありますし、真ん中もはやいしパイプもある。その状態だと、クロスステップを最初から踏む形の方が、よりはやく(相手のアタッカーに)寄ることができると思います。ただ、あくまでも自分が間に合うか間に合わないかが大事なので、しっかりリズムを取ってブロックを跳べる状態を作らないといけません。根本的には、そっちの方がよりはやいので、できるに越したことはないという感覚です」

【次ページ】 ミドルの序列は「3番手か4番手」

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