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イチローと智弁和歌山ナインの距離が縮まった“10回ジャンプ” 「ものさし」を知った濃密な3日間〈夏の甲子園〉
posted2021/08/24 06:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
JIJI PRESS
イチローさんが高校球児に直接指導する。球児にとって夢のような新たな一歩が、智弁和歌山高校のグラウンドで踏み出された。
イチローさんは、プロ野球のオリックスやメジャーリーグで数々の金字塔を打ち立て、昨年3月に現役を引退。昨年12月に学生野球資格回復制度の研修を受講し、今年2月に資格回復の認定を受けた。
2年前の秋、ほっともっとフィールド神戸で近畿大会が行われた際、球場を訪れていたイチローさんが智弁和歌山のスタンド応援に感銘を受けた。それを伝え聞いた同校のブラスバンドが、イチローさんの自主トレの応援に駆けつけて演奏したり、引退後の昨年12月には、イチローさんの草野球チームと智弁和歌山の教職員チームが練習試合を行った。そうした縁から今回の野球部への指導が実現した。
歩いている姿も「教材」
指導は12月2日から3日間行われた。初日は、選手たちが練習する姿をイチローさんはただじっと見つめ、2日目から徐々に選手たちの中に入っていき、実際に自身がプレーしている姿を見せながら、指導を行なった。
智弁和歌山の中谷仁監督は、その3日間を振り返りこう語る。
「選手が個々にいろんなアドバイスをもらいましたので、その1個1個が僕にとってのスペシャルでもありますし、すべての助言はもちろん、イチローさんの、1つひとつの所作、例えば、バットを拾うしぐさ、歩いている姿、そういうものまですべてが、この子たちにとっては教材で、どの局面をとってもプラスにしかならないというふうに見ていたので、すべてがありがたい時間でした」
阪神、楽天、巨人とプロで15年間戦った中谷監督も聞いたことがない技術的なアドバイスもいくつもあったという。