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日本人初! NBAサマーリーグでヘッドコーチを務めた吉本泰輔の“一歩前進”「バスケットボールを違う面から見ることができた」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2021/08/22 11:02

日本人初! NBAサマーリーグでヘッドコーチを務めた吉本泰輔の“一歩前進”「バスケットボールを違う面から見ることができた」<Number Web> photograph by Getty Images

NBAニューヨーク・ニックスでヘッドコーチ補佐を務める吉本泰輔。若手の登竜門であるサマーリーグの指揮を日本人として初めて託された

 初めてヘッドコーチをやってみて、一番大変だと感じたことは何だったかと聞くと、意外な答えが返ってきた。

「特にひとつ何かということではないのですけれど、やりながらすぐに判断しなくてはいけないことがいくつもあります。たとえばバスが何時に出発するとか、練習の時間、あとはメディカルの人たちと話して誰が怪我しているかといった情報を得る必要もあります。そういった人たちをまとめなくてはいけないというのが、一番大変なことでした」

 つまり、実際にベンチに入って戦術を指示したり、選手起用の判断をしたりといったことは、そこまで大変ではないというのだ。

「戦術面ではコーチとしてこれまでに築いてきた基盤があるので、それをやればいいのですけれど、そのほかのことはアシスタントとしては関わる必要がなく、今回、ヘッドコーチになって初めてやらなくてはいけないことだったので。(実際のコーチングは)これまでに時間をかけてやってきたこと。もちろん、やりながら修正しなくてはいけないこともありますし、とてもいい経験になっていますけれどね」

「アイデンティティを探しているところ」

 シボドーHCからは、自分らしくやるようにとアドバイスされているという。

 それでは、『吉本らしいコーチ』というのは、いったいどんなコーチなのだろうか? そう聞くと、苦笑しながら言葉を探した。

「自分はどういうコーチなのか──。答えにくい質問ですね。今はまだ、コーチとしての自分のアイデンティティを探しているところなのだと思います。今回は、コーチとしての自分自身を見つけるためにもすばらしい機会だと思っています。この経験が成長に繋がるようにと願っています。自分が知らないことが何なのかはわかったので、それだけ努力しなくてはいけないという気持ちになりますし、次のシーズンを楽しみにしています。今回、バスケットボールを違う面から見ることができたので。いつもアシスタントコーチの視点ではなく、ヘッドコーチの視点から考えたいと思ってきましたが、その機会を得られたことはとてもありがたいことです」

 今回の、サマーリーグでのヘッドコーチ経験を、吉本は「一歩前進」と表現する。それでも「まだ先は長いですし、努力し続ける必要があります。知らないことが何なのかがわかったので、さらに努力したくなりました」と、あくまでも謙虚だ。

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