Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

[越えられなかった壁]サッカー男子「号泣の先へ」

posted2021/08/13 07:02

 
[越えられなかった壁]サッカー男子「号泣の先へ」<Number Web> photograph by AFLO

メキシコとの3位決定戦直後、ピッチ上で号泣する久保。20歳の天才には、パリ五輪でのリベンジが期待される

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

PROFILE

photograph by

AFLO

1968年メキシコ五輪以来となる、メダル獲得を――。久保建英や堂安律ら若き才能と、吉田麻也らの経験が融合し、日本サッカー界の悲願達成へ、あと一歩まで迫ったチームの開幕前の苦難から、3位決定戦で流した涙の結末までを追う。

 ピッチにへたり込んだ久保建英が泣きじゃくっている。

 仲の良い橋岡大樹に慰められても、メキシコの選手がかわるがわる励ましにきても、溢れ出る涙は一向に止まらない。「涙も出ない」と語ったスペインとの準決勝後と、あまりに対照的な姿だった。

 そして、思い出したのは大会中に久保から聞いたこんな言葉だ。

「負けたくないっていう気持ちが強くて。こんないいチームはないし、環境にも恵まれて。ここを逃したら次はないと思う。悔いの残らない試合をしたいと思います」

 メキシコとの3位決定戦後のピッチで20歳の若者に去来したのは、果たしてどんな思いだっただろうか。目標を成し遂げられなかった悔しさか、チームを勝利へと導けなかった不甲斐なさか、大好きだった仲間との戦いが終わってしまう寂しさか……。

 そのすべてだったかもしれないし、本人でさえ分からないのかもしれない。

 確かなのは、日本代表の戦いが、見る者の心を揺さぶったことだ。予期せぬアクシデントをチーム全体でカバーしながら、試合を重ねるごとに逞しくなり、過密日程の中で心身ともにボロボロになりながら、最後まで戦い抜いた。それだけに……。

 このチームにはもっと相応しいエンディングがあったのではないか、という思いを抱かずにはいられない。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 3021文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

#久保建英
#吉田麻也
#森保一
#東京五輪
#オリンピック・パラリンピック

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ