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「“日本の運営能力は完璧”の信仰が崩壊」 高くてマズい食事、英語、酷暑…ブラジル人記者が辛辣に語る“東京五輪の問題点”とは
 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byRick Madonik/Getty Images

posted2021/08/07 11:01

「“日本の運営能力は完璧”の信仰が崩壊」 高くてマズい食事、英語、酷暑…ブラジル人記者が辛辣に語る“東京五輪の問題点”とは<Number Web> photograph by Rick Madonik/Getty Images

五輪のMPC内の様子。ブラジル人記者が東京五輪運営の率直な評価を語った

コンデ記者:ブラジルを出発したのが7月3日で、その3日前と2日前にPCR検査を受け、陰性を確認された。会社の方針で、日本到着後、毎日、PCR検査を受けている。面倒だが、仕方がない。

英語以前の問題として、正確な情報を……

――大会の運営面や取材環境について、どう思いますか?

ファベーロ記者:2つ、大きな問題がある。

 通常の大会に比べてボランティアの数が少ないことに加え、英語が通じる人が少ない。外国人ボランティア(注:母国語、英語など2つ以上の言葉が話せる)がいないせいもあって、英語以外の言葉を話せる人がほとんどいないのは仕方がないが、せめて英語できちんと案内をしたり質問に答えてほしい。

 言葉以前の問題として、正確な情報を持っていない人も少なくない。大会組織委員会による訓練が不十分だったのではないか。

 それから、いくつかの競技会場のインターネット環境が良くない。これは、我々ジャーナリストにとって極めて深刻な問題。日本はテクノロジー先進国だと思っていたので、驚いた。

ラグーナ記者:あるブラジル人記者が、「日本の運営能力は完璧、という信仰が崩壊した」と笑っていた。冗談交じりではあったが、かなり苦労しているのが見て取れた。

――移動に関しては?

ファベーロ記者:到着後最初の14日間は一般のタクシーにも公共交通機関にも乗れないので、苦労した。でも、その期間が終わってからは大丈夫。

コンデ記者:うちの会社では、到着後最初の14日間が終わってからも、常に会社が手配した車で移動している。だから、交通渋滞を除くと移動の問題はない。

早朝でも30度、欧米の人は本当に苦しんでいる

――7月下旬から8月上旬という酷暑の時期に五輪が開催されたことについては?

【次ページ】 いつの五輪にも共通するが今大会の食事は特に……

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