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ロンドン五輪スペイン戦「絶対に勝てるって」 清武弘嗣が信じられた理由と、敗北の準決勝で感じた「やばい」とは
posted2021/08/02 20:01
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
FIFA via Getty Images
「絶対に勝てるって思ったんです」
清武弘嗣は間髪を容れず、そう同調した。
メダルまであと一歩と迫った2012年のロンドンオリンピックをあらためて振り返る企画。オーバーエイジで出場した徳永悠平を長崎まで訪ねたのち、USJの近くにある大阪・舞洲のセレッソ大阪クラブハウスへと向かった。
優勝候補スペインを相手に「これならやれるなと思っていた」と徳永の言葉を伝えた際の反応が冒頭のコメントである。
スペインはEURO2012を制したジョルディ・アルバ、フアン・マタ、ハビ・マルティネスが名を連ね、ダビド・デヘア、イスコ、コケらもいる。徳永のニュアンスは“戦っていくうちに”だったが、清武のニュアンスは違う。“戦う前から”なのである。
「絶対に勝てる」と信じることができた背景
彼は言葉をこう続けた。
「前評判が低いのはみんな感じていたので“見返してやろう”っていう気持ちがチーム全体にありました。
スペイン戦のウォーミングアップで準備しているときから、多分いけるなって自分のなかでは思っていて、関さん(関塚隆監督)、コーチ、スタッフ、チームメイトと一日でも長くサッカーをやりたいという気持ちも強くて。いい準備ができたと思うし、その意味でも(吉田)麻也くん、徳さん(徳永)がチームに入ってくれたことはチームにとって大きかったと思いますね」
静かな口調ながら、1つひとつの言葉に熱がこもる。
「絶対に勝てる」と信じることができた背景に、オリンピック直前の選手ミーティングがあった。強化試合のベラルーシ戦後、戦術における意見交換の場となっただけでなく、チームの雰囲気にも話が及んだ。