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「美誠が100%なら誰にも負けない」伊藤美誠を中学から支える松崎コーチが語ったトレーニングと強さの秘密《初の金メダル》
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph bySTARTS CORPORATION
posted2021/07/27 17:05
伊藤美誠、母・美乃りさん、松崎太佑コーチ。松崎が伊藤の指導をするようになって7年、分厚い信頼関係が築かれている。
昔はポイントを細かく意識していた。
4月、卓球の世界ランキングがリリースされ、伊藤が2位に浮上。ベスト10のうち7人を中国の選手が占めている中、伊藤の2位は中国にとっては脅威であり、日本にとっては来年への希望になっている。
――世界ランキング2位まで上がりました。
「僕自身はあまり世界ランキング2位というのは気にしていないです。昨年で言えば、まず東京五輪への出場権を獲得するために国内競争がメインになったときも、あえてランキングやポイントは考えないようにしていました。それはリオ五輪の時の経験があったからです。
あの時は、『この試合に勝ったら2位に上がれるチャンスがあるよ』とか、『これに負けたら3位から4位に落ちてしまう可能性が出てくる』とか、ポイントをすごく細かく計算して美誠にも伝えていたんです。でも、それが美誠にはすごくストレスになってしまって、試合で実力を発揮できないことが多かったんです」
――ポイントを意識し過ぎてしまうとプレーに支障をきたすということですか。
「そうです。ランキングを意識してしまうと、どうしてもポイントが気になって試合に集中し切れないんです。それをリオ五輪の時に経験していたので、まずそういう考えを排除してとにかく試合に勝つことに集中しようと。その方が美誠は実力を出し切る場面が多かったので、その積み重ねをしてきたら世界ランキング2位になっていたという感じですね」
――とはいえ松崎コーチはポイントを把握していないといけないですよね。
「大雑把には把握していましたけど、細かくは計算していないです。ランキングを意識してしまうと、試合に負けた後とか、ふとポイントのことが出てしまうので、気になるけど計算するのをやめていました(苦笑)」