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クロノジェネシスは「正直、宝塚記念にも間に合わないと思いました」(斉藤師)… 凱旋門賞でも欧州勢に劣らない名牝の実力 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2021/06/29 17:01

クロノジェネシスは「正直、宝塚記念にも間に合わないと思いました」(斉藤師)… 凱旋門賞でも欧州勢に劣らない名牝の実力<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

宝塚記念で1番人気になったクロノジェネシスは、レイパパレやユニコーンライオンを見事にかわして優勝した

「宝塚記念にも間に合わないのでは?」

 こうして堂々と先頭に立ったディフェンディングチャンピオンとは裏腹にレイパパレの伸び脚は止まった。全兄のシャイニングレイは折り合いに難のあったタイプ。距離を短縮して一気に頭角を現し、1200メートルのCBC賞(GIII)を制したような馬だった。そんな血統が顔を覗かせたのか、一度はかわしたユニコーンライオンに差し返され3着でのゴール。無敗の連勝は6で止まり、連対も確保出来ず初めて黒星を喫した。

 スピードシンボリ、グラスワンダーに続く史上3頭目のグランプリ3連覇を決めたクロノジェネシスだったが、管理する斉藤崇史調教師によると、今回の偉業へと続いた道は必ずしも平坦ではなかったようだ。前走はドバイへ飛び、ドバイシーマクラシック(GI、メイダン競馬場、芝2410メートル)に挑んだ。結果は善戦したもののイギリスからの遠征馬ミシュリフに敗れる2着。新型コロナウイルス騒動の余波を受けて現地入り出来なかった斉藤崇調教師は関西空港でクロノジェネシスの帰国を出迎えた。当時の心境を次のように述懐する。

「空港に着いたばかりの頃はかなりガレてしまっていました。そのまま牧場で着地検疫を行ったのですが、当初は正直な話、宝塚記念にも間に合わないのでは? と思えるほどでした」

「大切なのは良い状態で出してあげる事」

 しかしノーザンファームしがらきの環境と牧場スタッフの努力で、日一日と彼女は回復を見せたと言う。

「こちらが思っていた以上に早いリカバリーを見せ、体を戻してくれました」

 クロノジェネシスのデビュー以来ここまで14戦全てでタッグを組んできた北村友一騎手が落馬による大怪我で騎乗出来なくなる誤算こそあったものの、馬の方は意外と早い段階で宝塚記念への目処が立ったと続ける。

 新たにコンビを組む事になったルメール騎手も中間の調教で跨り、万全の状態で臨める形となった。こうなると問題はここが初顔合わせとなるレイパパレや、リベンジを期す各馬との力比較になったわけだが、レース前、指揮官はどっしりと構える姿勢を口にしていた。

「もちろん勝てるように持って行って臨むわけですけど、誤解を恐れずに言えば負けても仕方ない事もあると、割り切って考えています。勝ち負け以前にまず大切なのは良い状態で出してあげる事であり、とりあえずそれはクリア出来ています」

 万全を期して、良い競馬をして、それで負けたら相手が上という事なのだから仕方ない。力を発揮出来る状態にしてあげられなかったら、それこそが問題である。調教師はそういう見解だったというわけだ。

【次ページ】 凱旋門賞に進む予定の馬たちの中でも劣っていない

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