サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
190センチ20歳の谷晃生が“たった2枠”の東京五輪代表を勝ち取るまで「ここで止まる選手ではないというのを見せる」
posted2021/06/23 11:05
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
U-24日本代表の密かな激戦区で、東京五輪行きをつかんだ。
湘南ベルマーレのGK谷晃生である。
18歳でG大阪トップに昇格するも……
このチームが立ち上げられた2017年12月のタイ遠征に、当時17歳の谷は招集されている。同年3月にガンバ大阪U-23の一員としてJリーグデビューを飾り、同年10月開幕のU-17ワールドカップでレギュラーを務めていた。すでに188センチのサイズを持つ高校2年生は、将来性豊かなGKとして注目を集める存在となっていた。
翌18年には、高校卒業を待たずにG大阪のトップチームに昇格する。しかし、ロシアW杯日本代表のGK東口順昭は、谷でなくとも高い壁だっただろう。18年、19年ともにリーグ戦の出場機会は得られず、20年に湘南へ期限付き移籍する。
J1リーグへのデビュー戦は、リーグ戦6試合目で巡ってきた。それまで1分4敗と勝利のないチームに、シーズン初勝利をもたらす。この試合をきっかけに定位置をつかみ、20年はリーグ戦25試合に出場した。
「ベルマーレへ来るにあたって、『1年で見違えるほど成長できる』と言ってもらいまして、そのなかで東京五輪も視野に入ってくるという話もしていました。ただ、自分が本格的にそこへ向かって意識したのは、J1で試合にしっかり出るようになったことが大きいと思います」
期限付き移籍を延長した今シーズンも、開幕からゴールマウスに立ってきた。U-24日本代表では3月29日のU-24アルゼンチン戦で3対0の勝利に貢献し、6月シリーズでは5日のU-24ガーナ戦と12日のジャマイカ戦に連続で先発した。東京五輪のメンバー入りは順当と言っていいだろう。
「選ばれたからといって一切満足はない」
谷自身は気持ちを新たにする。
「湘南でやっているプレーが評価されて、それが間違いなく選出につながったと思います。選ばれてホッとした気持ちもありますし、それと同時にワクワクする気持ちもあります。選ばれたからといって一切満足はなく、より緊張感や責任感、覚悟を持ってやらなければいけないな、という気持ちもあります」
自らを奮い立たせるためのありとあらゆる感情が、190センチ84キロの恵まれた身体を駆け巡っている。同時に、選ばれなかったライバルにも思いを馳せる。