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“思い出の夏”から25年、EUROで白星スタート …イングランドの人々を熱狂させる21歳の「ガッザ2世」 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/06/18 17:00

“思い出の夏”から25年、EUROで白星スタート …イングランドの人々を熱狂させる21歳の「ガッザ2世」<Number Web> photograph by Getty Images

イングランド・サポーターの期待を一身に背負うフィル・フォデン。クロアチアとの初戦でも存在感を放った

 同世代の攻撃的MFには、前述のFAユースカップ決勝でチェルシーのナンバー10として優勝を実現し、その前月に1得点1アシストでU-21代表デビュー戦を飾っていたメイソン・マウントというライバルがいる。また現在のA代表には、4歳上だが昨年9月にデビューを果たしたばかりのジャック・グリーリッシュという、「ガッザ2世」候補も加わっている。サウスゲイト監督は攻守と経験値のバランスを考え、ゴールへの積極性も創造力も旺盛な若手攻撃トリオの揃い踏みには慎重だ。

 とはいえ、巷では「揃って先発でもいいじゃないか」の声が多い。識者の間でも中盤の2枠がウイングバックで埋まる3-4-3ではなく、4-3-3の支持が多かったのは、フォデンとグリーリッシュは前線アウトサイドに、マウントはインサイドハーフでの3者揃い踏みを実現しやすいからに他ならない。

 中でも、プレミアリーグとリーグカップの2冠を達成したシティの主軸としてクラブでの今季を終えたフォデンは、CL優勝を遂げた今季のチェルシーで原動力となったマウントとともにスタメン当確と見られるまでになっていた。

イングランド・サポーターたちは拍手喝采を惜しまなかった

 注目のクロアチア戦、フォデンはマウントの1列前でピッチに立った。

 決勝点を決めたのは逆サイド、3トップ左で先発したラヒーム・スターリングだった。マン・オブ・ザ・マッチを選ぶなら、マウントと並んで右インサイドハーフでアシストも記録したカルバン・フィリップスになるだろう。しかし、観衆に「何かが起こる」と最も期待させたのは、前線右サイドでスタメン入りしたフォデンだった。

 開始早々の6分、ゴール左下隅を狙った左足シュートがポストに阻まれていなければ、スタジアムには10万人の超満員(実際は2万1000人)かと思えるほど大きな歓喜の絶叫がこだましていたに違いない。

 いきなりネットを揺らすことはできなかったが、先制点に迫るシュートには立ち上がりにラインが低かったチームに攻守両面で果敢な姿勢を促す威力もあった。

【次ページ】 喜びに彩られた思い出の一戦を再現するチャンス

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