情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
大学で「電気通信工学」を勉強→なぜかプロレスラーに→今は新日本の広報…井上亘が“波乱の人生”を語る
posted2021/06/06 11:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Yukio Hiraku/AFLO
ハキハキとした口調は、現役のころと変わらない。
肩書きが新日本プロレス所属のプロレスラーから新日本プロレスリング株式会社の社員になってもう7年が経つ。リモート越しに映る姿はレスラー時代より随分とスリムになった。戦う体づくりから健康目的の体づくりへ。47歳には見えないくらい若々しい。
「これから、プロレスエクササイズをやるんですよ。今回はコーチに、真壁(刀義)さんが来てくれるんです」
不器用かつ真っ向勝負の現役時代のスタイルが重なる
プロレスエクササイズとは「The Third Generation Club」と題した、会員制のプロレス流トレーニング指導。第三世代の天山広吉、小島聡、永田裕志そして女子プロレスから下田美馬がコーチとなって、週に1度、楽しくできるトレーニングをモットーにしている。裏方として切り盛りしているのが、井上である。現在はコロナ禍のためオンラインでのトレーニングに切り替えており、忙しそうに準備していた。
「レスラーと一緒にエクササイズしたり、直接コミュニケーションを取ったりすることでよりプロレスが身近な存在になってもらえればいいという思いで始めました。今はコロナ禍で面と向かってトレーニングできない状況なので、昨年7月からオンラインになっています。自宅でもできる効果的なメニューをコーチのみなさんには考えてもらっていて、会員のみなさんもリモートワークが多いと聞くので、少しでもリフレッシュしてもらえる時間になれば、と。僕自身、プロレスと出会って世界が凄く広がったので、レスラーから離れた立場であってもプロレスから受けた喜びを、体を鍛える喜びを少しでも多くの人に、伝えられたらいいなって思うんです。だから凄くやり甲斐を感じています」
プロレスが自分の人生を豊かにしてくれたという思いがある。人を元気にさせる力があると信じている。魅力を知ってもらいたい、伝えたい。不器用かつ真っ向勝負の現役時代のスタイルが重なる。
体を鍛えることで夢が広がる。彼自身が、そうだった。