ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
30歳7年目の倉本寿彦を奮い立たせる“妹・美穂さん”とは?「妹に喜んでもらえるような活躍をしないと」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/04/25 17:02
昨季は82試合に出場し、打率.276、1本塁打、17打点。4月8日の中日戦では途中出場ながら9回に適時打を放つなど、レギュラー定着をうかがっている
「そうなんですよね。僕もタケ(石川)さんのそういう姿をずっと見てきて格好いいなって思っていたんですよ」
そういう頼りにされる存在にならなければいけませんね、と言うと「いやいや」と、倉本はとんでもないといった様子でかぶりを振った。そして次のようにつづけるのだ。
「タケさんに対する思い入れは他の人とはちょっと違いますよね。いつも『チャンスはあるから頑張れよ』って励まされて、その言葉でずいぶん前向きになれたんですよ。寂しいといえば寂しいんですけど、しっかり一本立ちして頑張っていきたいなって」
意思のあるところに道は拓ける――。
調子を取り戻してきた大きな要因は「自主トレ」
かつてはレギュラーを張っていた倉本は、2018年シーズンから2年間、思うような活躍ができず不本意な状態で選手生活を過ごしていたが、昨季は復調し82試合に出場。バッティングや守備でチームに貢献した。調子を取り戻した大きな要因は、昨シーズン前に行った自主トレにあるという。
倉本はプロになって初めて球場を借り切り、学生時代からの仲間のサポートをはじめ、あらゆる分野のトレーニングの専門家を招き基本的な肉体改造に着手した。
「それまで自主トレは、いろんなところを転々としていて球場を押さえてやるようなことはなかったんです。けど不本意なシーズンを過ごして、心を決めてじゃないですけど、ここは思い切って、最後だなという気持ちで球場を押さえて自主トレをやったんです。たくさんの人に手伝ってもらって、いろんな人と出会い、多くを学べたのは自分にとって大きな経験になりましたね」
オフにしかできない重い負荷をかける体幹トレーニングや、バランスの強化などに力を入れ抜本的な肉体改造を行った。結果、以前よりもコンディショニングは良くなり、プレーにもいい影響が出た。
腰痛に悩まされて「結構しんどい状況でしたね」
ひとつ確認したいことがあった。かつて倉本は腰痛に悩まされていたと聞いたことがあるのだが、それが解消されたという話が耳に入ってきた。本当のことなのだろうか。倉本はケガというネガティブなことは言いたくないのか、若干ためらいながら教えてくれた。