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自主トレも3年後に公表…なぜ山本由伸は“秘密主義”なのか? 理想も「教えるわけないじゃないですか(笑)」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2021/04/28 11:03

自主トレも3年後に公表…なぜ山本由伸は“秘密主義”なのか? 理想も「教えるわけないじゃないですか(笑)」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

取材でトレーニングのことなどを聞かれて「秘密です」と答えることが多い山本由伸

「教えるわけないじゃないですか(笑)」

 やっぱりそうきた。ただ、目指す自分にたどり着くために、通るべき道や、目標とする数字をいくつも設定していて、その1つが「15年間先発ローテーションを守ること」だと教えてくれた。

 山本はずっと、ずっと先を見据えている。

「彼はものすごい勢いで進化している」

「まだまだ、こんなん序章でしょ」

 鈴木はそう言った。今も山本の身体の使い方に合うグラブを追求し、支え続ける鈴木は、山本と関わることで自身も成長していると感じている。

「彼はものすごい勢いで進化しているので、こっちも止まっていられない。常に先回りしとかなあかんので。例えば何か質問された時に、タイムリーな答えを返さないと、信頼関係が崩れるじゃないですか。ただのおっさんになってしまうでしょ。『鈴木さん、こないだも同じこと言ってましたよ』と言われたら、僕は身を引きます」

 自身を追い込みながら、鈴木は楽しげだ。

 矢田も、「僕の中では、彼は孫なんですよ」と目尻を下げる。

「彼は負けない投手になると思います。本当の彼をお見せできるのは、これからが本番。どうか温かく見守ってやってください」

 山本の周りには、「俺が山本由伸を育てた」とふんぞり返る人間はいない。彼が追う夢を、みんなが一緒になって追っている。

 オリックスは、24年間リーグ優勝から遠ざかっており、過去2年は最下位。開幕戦は9連敗中という負の数字が並ぶ。

 しかし今年開幕投手を務める若きエースの周りには、いつも陽が差していた。入団以来ずっとそんなふうに見えていた。だから今年は、何かが変わるかもしれない。

【前回を読む】「まさかプロ野球選手になるとは…」22歳山本由伸が“オリックスのエース”になるまでの「知られざる少年時代」

山本由伸YOSHINOBU YAMAMOTO

1998年8月17日、岡山県生まれ。都城高から2017年ドラフト4位でオリックス入団。'18年中継ぎとしてブレイク。'19年から先発転向。ストレートの自己最速は'19年プレミア12での158km。昨年9月のソフトバンク戦ではフォークで150kmを計測した。178cm、80kg。

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