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プロ野球スカウト4人に直撃取材「高校生投手、畔柳(中京大中京)、達(天理)、小園(市立和歌山)でドラ1候補は?」【甲子園】
posted2021/04/05 18:25
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
センバツ高校野球たけなわの「甲子園」と、大学野球が始まったばかりの「神宮」で、スカウトの方たちにお願いしてみた。
「畔柳亨丞(中京大中京)、小園健太(市立和歌山)、達孝太(天理)。この3人に、1番、2番、3番……順番つけてください」
「2021センバツ」で、誰もが大会トップ3に挙げた快腕・剛腕たち。選手たちには失礼かな……とは思ったが、どうしても訊いてみたくて4人のスカウトにお願いした。
(1)パ・リーグスカウト「ロマンでいったら、達かな」
「チーム事情やニーズは別で、あくまでも個人の見解ですけど……」
と前置きしておいて、
1.達孝太(天理)
2.小園健太(市立和歌山)
3.畔柳亨丞(中京大中京)
と、あるパ・リーグスカウトは順番をつけてくれた。
「3人とも甲乙つけがたい逸材たちですよ、そこは間違いない。去年のドラフトを考えると、高校生投手は1位が高橋宏斗(中京大中京→中日)と山下舜平大(福岡大大濠→オリックス)。2位が中森(俊介、明石商→千葉ロッテ)だけでしょ。今年でいえば、故障さえなければ、この3人はおそらく1位だろうし、ほかにも2位までに入ってきそうなピッチャーが何人もいますよ」
高校生投手のレベルなら、去年より今年のほうが上。これは、多くのスカウトの方たちの「定評」になっているようだ。
「でもねぇ、ロマンでいったら、達じゃないかなぁ。小園も畔柳も、確かに逸材ですよ。でも、たとえば5年先、10年先どうなってるか、なんとなく見えるわけですよ、この2人は。どっちもたぶん一軍で、チームの大看板で活躍してそうなピッチャーたちですけど、達はどうなってるか、イメージが作れない。もしかしたら10年目、もういないかもしれない。本人も子供の頃に断言したらしいじゃないですか、“5年10億”とか」
本人、本当にメジャー志向らしい。
「達の場合は、140キロちょっとぐらいの速球で空振りさせたり、どん詰まりにさせたり。145キロを超えると、バッターはもう手が出ない。速い球を投げる能力と、投げたボールを速く見せる能力は別ですから。達には、速く見せる能力がある。これがあると、プロでも長いイニング放れるんです」
投げる資質とスケールの大きさ。そこが違うという。
「僕の想像力の限界を超える潜在能力っていうんですか、あれだけ首が長くて、全力投球の投げ終わりで全身のバランスが崩れないなんて、ものすごいものを持ってますよ。あの長い首が太くなって、両肩にかけて“富士山の裾野”みたいに見えるようになった頃には、とんでもないピッチャーになってるかもしれない」