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「翔平にも投げてみたいねぇ」150キロ超えの“打撃投手イチロー”が見た〈打者・大谷翔平〉とは?

posted2021/03/20 06:00

 
「翔平にも投げてみたいねぇ」150キロ超えの“打撃投手イチロー”が見た〈打者・大谷翔平〉とは?<Number Web> photograph by AFLO

キャンプで打撃投手として現役さながらの豪速球を投げ込むマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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 3月17日。ポカポカ陽気のアリゾナ州ピオリア。マリナーズがナイターでのオープン戦を前に午後4時から練習を始めていた。

 この春はコロナ下での取材。大半の球団が報道陣に取材規制を敷いている。ご存知のようにメジャーのキャンプ施設は広大だ。フィールドが4面も5面もある中で取材エリアが限定されれば、練習内容さえも確認できない。仕方のない事実だが、シアトル・マリナーズは寛大だ。

 フィールドは大小合わせて7面。選手がどこのフィールドで練習をしていても、フェンスの外からならば、取材は出来る、移動も自由。もちろんマスク着用は義務付けられ、報道陣同士であっても約2メートルのソーシャル・ディスタンスを守らなくてはならない。それでも我々にとってこの目で、選手の動きを確認できる本来ならごく普通の環境が、今のご時勢であるのはありがたい。

打撃投手イチローの1球目「ドスンッ!」

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 取材に当たっていた報道陣の数は日本メディア5人、米国メディア2人。密どころか、のんびりとした、のほほんとした空気が流れていた。

 その中、際立った動きを見せていたのは、いつものことながら、イチローさんだった。

 47歳となった会長付特別補佐兼インストラクターは、フリー打撃に打撃投手として登板。1球目を投げた瞬間、驚いた。

 ドスンッ!

 打者が見送り、イチローさんが投げたボールが打撃ケージ内のクッションに当たった音は、メジャー取材歴27年目になるが、過去に聞いたことのない、重く、大きな衝撃音だった。

 次の球には打者が振り遅れ、ファールに。打球はケージ上部のネットを叩いた。

 お世辞抜きに、誇大表現なしに、剛速球。何キロでているのか、考えてみた。

 メジャーの場合、打撃投手は通常より3メートルほど前の約15メートルの距離から傾斜台の上で角度をつけて投げる。

 イチローさんの投げている球は打者の体感では95マイル(約153キロ)オーバーであろうか。

 そう推測する理由は見た目で実速が90マイル(約145キロ)にかなり近いこと。加えて打者の反応だ。

【次ページ】 「投げていると、『誰が良いバッターか』よくわかりますよ」

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