熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
集団婦女暴行、愛人殺人、過失致死、放火…凶悪犯罪の数々 ロビーニョらブラジルサッカー選手の闇
posted2021/03/16 17:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Naoya Sanuki/Takuya Sugiyama
かつて“天才ドリブラー”と呼ばれ、欧州の超名門クラブとブラジル代表でプレーした男が、極めて困難な状況に追い込まれている。
ロブソン・デ・ソウザ、通称ロビーニョ。
童顔だが、37歳になった。サントスの下部組織育ちで、圧倒的なスピードと驚異的なテクニックを備えたドリブラーにしてストライカー。クラブ関係者の間で"ペレ以来の逸材"と話題になり、2002年、18歳でトップチームへ昇格してたちまちレギュラー。翌年、ブラジル代表に初招集され、2005年には移籍金2400万ユーロ(約31億円)でレアル・マドリーへ移籍。2006年のワールドカップにも出場……。ブラジル中の少年が思い描く夢を、次から次へと実現していった。
ところが、少しずつ歯車が狂い始める。レアル・マドリーで主力になり切れず、2008年にマンチェスター・シティへ移籍。当初は好調だったが、2季目に調子を落とす。2010年、ACミランへ移り、ここでも最初のシーズンは好調だったが、その後、精彩を欠いた。
集団婦女暴行容疑で実刑判決、サントスは“契約解除”
のみならず、彼のキャリア、さらには人生を狂わせる重大な出来事があった。2013年1月、ミラノ市内のナイトクラブの一室で数人のブラジル人とともに若い女性を暴行した容疑をかけられたのである。
ここから、ロビーニョのキャリアはエンジントラブルを起こした飛行機さながら、急降下する。2015年にACミランを退団し、広州恒大へ移籍したが鳴かず飛ばず。2016年にブラジルへ帰国し、その後、トルコリーグでプレーしたが、昨年8月に契約を解除された。
2013年の集団婦女暴行容疑の裁判は、2017年の第一審で9年の実刑判決が下った。ロビーニョは、「女性と関係を持ったのは事実だが、合意の上だった」と主張して控訴した。
しかし、ブラジルの世論は彼に対して厳しかった。昨年10月、古巣サントスが獲得を発表すると、女性サポーターやクラブのスポンサーから抗議が殺到。獲得発表から6日後、一度もピッチに立たないうちにサントスは契約を凍結した。事実上の契約解除だった。