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古川奈穂20歳、永島まなみ18歳が藤田菜七子以来の女性騎手デビュー “負傷で留年”にも負けない根性と“父の夢”

posted2021/03/05 06:00

 
古川奈穂20歳、永島まなみ18歳が藤田菜七子以来の女性騎手デビュー “負傷で留年”にも負けない根性と“父の夢”<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

2019年、女性騎手候補生だった永島まなみ(左)と古川奈穂(右)は藤田菜七子と併せ馬で“共演”していた

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Sankei Shimbun

  3月で新年度を迎えた中央競馬では、今週から8人の新人騎手がデビューする。

  なかでも特に注目されているのは、2016年にデビューした藤田菜七子以来5年ぶりの誕生となる女性騎手の2人だ。

  ひとりは栗東・矢作芳人厩舎に所属する古川奈穂(20)、もうひとりは、同じく栗東・高橋康之厩舎に所属する永島まなみ(18)である。

藤田を見て「女性でも騎手になれるんだ」

  東京出身の古川奈穂は、競馬サークルとは無縁の環境で育った。小学校6年生のとき、家のテレビでたまたまゴールドシップが勝った2012年の有馬記念を見たのが、競馬との出会いだったという。

  中学生のときは陸上部に所属。そのかたわら、東京競馬場や中山競馬場にたびたび足を運んでレースを見ていた。高校に進学するも、藤田が活躍する姿を見て「女性でも騎手になれるんだ」と知り、競馬学校受験を決意した。

  競馬学校在学中に左肩を負傷した影響で留年したが、ついにデビューにこぎ着けた。

  矢作厩舎のカラーである赤と白のコントラストが目を惹く厩舎ジャンパーの右胸と左袖、そして背中には「-4」の文字がある。自らデザインしたというそれは、50勝以下の女性騎手に与えられる4キロの減量を意味している。1キロ軽いと1馬身前に出ると言われているほど、特に下級条件のレースでは、減量の恩典がモノを言う。

  この制度は2019年春に導入されたのだが、そのとき藤田は50勝を超えていたため、4キロ減の恩典が適用された騎手が実戦に出るのは、古川と永島が初めてとなる。古川は、ジャンパーでそれをしっかりアピールしているわけだ。

  目標とする騎手は、武豊と、自厩舎の坂井瑠星。土曜日の阪神第1レースでデビューし、その日は5鞍、日曜日に同じく阪神で4鞍に騎乗する予定だ。

【次ページ】 永島まなみは父の夢を叶えた

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