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三浦知良が54歳に 「空港でスーツびしょ濡れ」傷ついた城彰二にキングカズが伝えた“ある言葉”とは?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2021/02/26 06:01
本日2月26日は三浦知良の54回目の誕生日だ
「活躍して当然」と戦い続けてきた
高校を中退して単身ブラジルに渡ったカズは、プロフェッショナルの宿命に身をさらした。結果を残せば称賛され、勝利に貢献できなければ叩かれる。結果を残してもなお批判される不条理さも知った。
名門サントスからJリーグ開幕前の日本リーグへ凱旋してからは、「活躍して当然」との圧力を受けていく。チャンスメーカーの性格が強いウイングからストライカーへ転身していったのは、時代に応じたサッカーの変化に対応するためであり、自らが生き抜くためでもあったのだろう。
日本代表と所属クラブで得点を重ねていくと、周囲の要求はさらに高くなる。2試合連続でノーゴールに終われば「どうした?」という空気が忍び寄り、3試合連続無得点では「不振」と見なされる。ファン・サポーターから誰よりも熱い視線を浴びる男は誰よりも大きなプレッシャーを背負いながら戦ってきた。
97年のフランスW杯アジア最終予選で、暴徒化したサポーターからパイプ椅子を投げられたときはさすがに声を荒げた。だが、批判や非難に対して感情をあらわにしたのは、おそらくこの一度限りである。
「プロは叩かれてナンボでしょう」
カズ自身はこう語っている。
「プロは叩かれてナンボでしょう。自分に期待してくれているから批判されるわけで、何も言われないほうがよっぽど寂しいよね」
日本サッカーの新たな地平を切り開いた男は、プロフェッショナルの神髄を示してきた。36年目のシーズンも周囲の期待を真正面から受け止め、厳しい評価にも真摯に向き合うカズがいる。