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巨人・桑田真澄コーチ「9回完投135球」論の本質 “昔の俺たちは凄かった”的OBと似て非なるワケ

posted2021/02/14 11:00

 
巨人・桑田真澄コーチ「9回完投135球」論の本質 “昔の俺たちは凄かった”的OBと似て非なるワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2013年、東大野球部を指導したころの桑田真澄コーチ。「9回135球」論には深い思考がありそうだ

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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巨人の桑田真澄氏が「9回完投135球」の持論を唱えたのが話題になった。同氏に取材経験もある記者による記録を含めた「球数」考察を前後編の2回に分けてお送りする(後編はこちら)。

 新型コロナ禍の春季キャンプでひときわ注目を集めているのが巨人の桑田真澄一軍投手コーチ補佐だ。2006年に退団して以来15年ぶりの巨人復帰である。

 そして就任にあたって桑田コーチは「先発投手は9回完投135球を目指すべき」と持論を唱えたことが、大きな話題になっている。

 筆者は2016年、東京大学で行われた「野球科学研究会大会」にパネリストとして招かれ、このとき当時東京大学大学院の研究員だった桑田氏の知遇を得た。その誼で2019年に『球数制限』という本を刊行するにあたって、桑田氏にコメントを寄せていただいた。顔を合わせれば、意見交換をするような間柄である。

「野球は近い将来マイナースポーツに」

 2016年の「野球科学研究会大会」ではホストの東京大学を代表して桑田氏が基調講演を行ったが、その冒頭、桑田氏は「野球は近い将来マイナースポーツに転落する」と強烈な言葉を放った。その背景に、選手のことを考えない指導者の姿勢、さらに非科学的な指導があると指摘した。

 桑田氏は古今の名投手の投球フォームの写真を掲げて「昔から投手は投げるほうの肘を肩よりも上げて投げなさい、と教えられたが、大投手たちの肘はみんな下がっている。そうしないと投げられない」と指摘し、昔からの野球指導が科学的な根拠に乏しく、観念的なものであることを厳しく批判した。

 その上で高校生以下の「球数制限」の導入を強く主張した。

 また『球数制限』でも、大人の都合で投げさせられて怪我をする子供が減らないこと、選手が勝利至上主義の犠牲者になっていることを強く訴えてきた。

【次ページ】 高校野球の球数制限への意見は変わっていない

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