フランス・フットボール通信BACK NUMBER
PSG史上最高監督カルロ・アンチェロッティが明かす“1番つらい瞬間”「心から泣くときもよくある」
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byPierre Lahalle/l’Équipe
posted2021/01/16 17:00
ズラタン・イブラヒモビッチと握手を交わすカルロ・アンチェロッティ
アンチェロッティ バイエルンやナポリで最後のころに言われていたことは事実ではない。私は(フランク・)リベリーや(アリエン・)ロッベン、(マッツ・)フンメルスの圧力に屈したわけではなかった(バイエルンの監督解任の理由は、リベリー、ロッベンら5人の主力とアンチェロッティの確執であるといわれた)。チームを若返らせたい、世代交代を進めたいというのが私の意図で、それだけのことだった。
――では監督と選手の関係は、どこまで深まっていくのでしょうか。友人関係にまで至りますか?
アンチェロッティ (深くため息をつきながら)わからないが……、そうなれると私は思っている。少なくとも私は、私がこれまで接してきた選手たちは友人だと思っている。ただ、実際に監督と選手の関係であったときには、彼らにはその意識は希薄だったかも知れない。
すべては敬意の問題だ。監督は選手に敬意を払うべきだし、選手も監督という職種に敬意を示すべきだ。選手が監督と良好な関係を築くことがメリットにはならないと思い込んでしまったら、状況はとても厳しい。絶対に避けるべきだが、よく起こることでもある。
――良くも悪くも選手への判断を誤ったことはありますか?
アンチェロッティ 一度もない。彼が誰であるか、どんな人間であるかを見抜く能力が私には備わっているから。
――ズラタン・イブラヒモビッチとは今もコンタクトをとっていますか?
アンチェロッティ もちろんだ。他にもインザーギや(アンドレア・)ピルロ、(マルコ・)ベラッティ、ときおりクリスティアーノ・ロナウドとも……、あとは(サルバトーレ・)シリグやジョン・テリー、今はリバプールでプレーするチアゴ・アルカンタラともやり取りをしている。
――本当ですか?
アンチェロッティ あなた方が何を言おうと、またどう考えようとも、彼らはボールが大好きだ。答えはウィ(イエス)で、彼らの周囲には様々な喧騒がある。ファンや代理人、金、ソーシャルアカウント……。だが、彼らはそのすべてを欲しているだけでなく、プレーすることが大好きだ。それ以上ではない。選手は収入が得られないことよりも、プレーの機会が与えられないことに敏感でいら立ちを見せる。
なぜPSGはバイエルンに勝てなかったのか
――あなたはパリ・サンジェルマンのクラブ史上最高監督に選ばれましたが、それはどんな意味を持ちますか?