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「普通のアーモンドアイでした」夢のジャパンカップ、ルメールの“リスクマネジメント”で歴史的ラストラン
 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2020/11/30 11:55

「普通のアーモンドアイでした」夢のジャパンカップ、ルメールの“リスクマネジメント”で歴史的ラストラン<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

ジャパンカップを制したアーモンドアイ(中央)。コントレイル(左)とデアリングタクトが続き、3強ワンツースリーで幕を下ろした

デアリングタクトとコントレイルの初の敗北

 一方、デアリングタクトはデビュー6戦目、コントレイルは8戦目にして、初めての敗北を喫した。

 前述したように、松山のデアリングタクトは終始アーモンドアイをマークしていた。福永のコントレイルは、前の二強を射程に入れながらレースを進めた。2頭とも、馬場の傷みの少ないところで脚を溜めた。マークというのは、される側よりする側が圧倒的に有利で、しかもアーモンドアイはずっと馬場の悪いところを走っていた。それでも突き放されたのだから、アーモンドアイが強かったということだ。

 松山も福永もミスなく完璧に乗った。

 筆者は、コントレイルが、ペースによらず後方から行く可能性もあると思っていた。それはしかし、距離に大きな不安がある場合や、相手のほうが明らかに強いと認めた場合の「一発勝負」の戦術だ。今回はハイペースになったので、ひょっとしたらハマっていたかもしれないが、スローペースになったら惨敗することもあり得る。

「自分の馬が一番強い」と信じて臨む場合は、福永が見せた騎乗が正解だろう。
 結果論だが、最後に内にモタれたのはやはり、厳しいレースになった菊花賞のダメージが見えないところに残っていたからかもしれない。

前年比47.5%増の売上げが感動と興奮を物語る

 とはいえ、デアリングタクトもコントレイルも、直線で脚があれば勝てる形にしっかり持ち込み、一瞬、やったかと思わせた。

 繰り返しになるが、アーモンドアイがそれ以上に強かった、ということだ。

 これが3頭による最初で最後の直接対決というのは寂しいが、だからこそ盛り上がった。ジャパンカップの売上げは、制限付きの入場がつづくなか前年比47.5%増の272億7433万4600円に達した。

 この激戦の興奮と感動を胸に、デアリングタクトとコントレイルの走りを見つめながら、アーモンドアイが繁殖牝馬として送り出す仔の登場を待ちたい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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