Number Web MoreBACK NUMBER
【異例】巨人・育成ドラフト9位、奈良木陸は筑波大理系! 卒論はドラフト会議のマッチング研究
posted2020/10/27 06:00
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
9月19日、首都大学野球の開幕戦会場となった大田スタジアムには多くのスカウトが集まった。新型コロナ禍の影響で、一般の観客入場は禁止(※)されただけに、よりその数の多さが目立った。
※スカウトや報道、事前登録した関係者(保護者、大学関係者、野球部OB、後援会)のみ入場可。
ドラフト上位候補に挙がる森博人(日体大)、2年時に侍ジャパン大学代表に選出され故障から復活を遂げた小郷賢人(東海大)らが熱視線を浴びたが、その大トリに出てきたのが筑波大・奈良木陸だ。
第3試合筑波大vs.帝京大の8回裏、1点ビハインドの場面で登場した奈良木は、自己最速となる151キロを計測するなど、唸るような剛球で帝京大打線を無安打1四球で1イニングを抑えた。
最終試合の終盤ということもあり、何人かは席を立っていたが、最後まで残ったスカウトは「想像以上に良かったです。初めて見られて良かった」と話す者もいた。奈良木も試合後「僅差の展開での登板は初めてでしたが、投げられることに幸せを感じたので、マウンドに上がってからは緊張も解けました」と表情を緩めた。
昨季までのリーグ戦登板はわずか「5」
「初めて観た」というスカウトのコメントもあったように昨年までの3年間でリーグ戦登板は5試合のみ。プロ志望届提出が公示された後に「この奈良木って選手知っている?」と尋ねる別のスカウトもいたほど無名の存在だった。
川村卓(たかし)監督は「2年の秋にグッと良くなって社会人の打者も当たらないくらいになっていました」と話す。だが、2年冬に右肘のクリーニング手術をしたことや、それまではストレートしか通用する球種が無く、ストレートが走らなければ苦しくなる投球だったため、おのずと登板機会は限られたのだという。
それではなぜラストシーズンになってから頭角を現すことができたのか。また、下半身中心にひときわ目立つがっしりとした体格がいかに生まれたのか。